経理アウトソーシング会社の比較|個人・会計事務所・BPOの違い

この記事の要点
- 経理アウトソーシング会社の比較は、料金表を並べる前に、頼み先を個人・会計事務所・BPO(経理代行会社)の3つの型に分けるところから始めます。
- 型を比べる軸は3つです。担当が止まったとき誰が代わるか、税務の入口をどちらが持つか、やめたときに社内へ何が戻るか。
- 取引が少なく、数週間止まっても困らず、社内に確認できる人がいる会社には、個人への委託が合います。申告など税務の取扱いは、自社のケースを顧問税理士にご確認ください。
目次
経理アウトソーシング会社を比較するとき、最初に手が伸びるのは、料金と対応業務の一覧です。ただ、それを3社分並べても決まりません。フリーランスの個人、会計事務所、BPOの会社では、仕事を受ける体制が違うからです。
料金と業務範囲だけで選ぶと、契約したあとに担当の人が動けなくなった月のことが、比較の中に入りません。経理は、担当が止まった月にも支払日と給与日が来る仕事です。
この記事では、経理の外注先を3つの型に分け、「担当が止まったとき、誰が代わるか」を主軸に比べます。私が運営するシメゴは、3つ目の型(BPO・経理代行会社)です。それでも、個人に委託したほうが合う会社はあります。その条件も書きます。
外に出すか、社内で採用するかという手前の判断は経理担当を1人雇う vs 経理代行に、外に出せる業務の範囲は経理の外注に書きました。この記事が扱うのは、出すと決めた会社がどの型を選ぶか、だけです。
経理アウトソーシング会社は、実務上3つの型に分かれる
看板の名前はさまざまですが、受ける側の体制で分けると、次の3つになります。
図1 経理の外注先の3つの型
個人
会計事務所
BPO・経理代行会社
3つの型の違いは、誰が契約を受け、誰が作業するかにある。
型A|個人(フリーランスの経理、個人の記帳代行者)。経理の実務経験がある人が、個人で受ける形です。クラウドソーシングで探しても、紹介で出会っても、体制は同じです。受ける人と作業する人が同じなので、話が早く、こちらのやり方に合わせてもらいやすい形です。その一方で、本人が動けなくなったときの代わりは、本人が用意していなければいません。
型B|会計事務所・税理士事務所。顧問税理士がそのまま記帳まで引き受ける形と、記帳代行を主な業務にしている事務所があります。税務申告と地続きになっているのが特徴です。記帳を所内の担当者が入力するのか、外部の記帳代行会社に再委託するのかは、事務所によって違います。顧問料に記帳が含まれているかどうかも事務所ごとに違うので、契約の前に確かめます(記帳代行は税理士に頼むべきか)。
型C|BPO・経理代行会社。会社として契約を受け、業務を工程に分けて処理する形です。入力・確認・報告を別の人が受け持ち、業務を人ではなく手順に乗せる形です。手順を取り決めてから始めるぶん、こちらの独自ルールをそのまま引き受けるのは、型Aより苦手です。経理代行のシメゴも、会社として受けるという意味でこの型です。BPOという言葉の整理は経理BPOとはに書きました。
3つの型は、規模の大小ではない
違うのは、誰が作業し、誰が確認し、誰が代わるかという体制です。社員数や設立年数を並べても、この違いは見えません。
まず結論|3つの型の比較表
先に全体を置きます。理由は次の章から書きます。
表1 個人・会計事務所・BPOの比較
| 比べる軸 | 型A 個人 | 型B 会計事務所 | 型C BPO・経理代行会社 |
|---|---|---|---|
| 担当が止まったとき | 本人が代わりを用意していなければ、代わりがいない。復帰を待つか、探し直す | 所内に別の担当者がいれば、振り替える。申告の時期の体制は事務所による | 会社の中で振り替える前提。代わりの人がルールを知る手段(手順書など)を確かめる |
| 税務との接続 | 申告は別に、税理士が必要 | そのまま申告まで続く | 申告は顧問税理士か提携の税理士へ。データを渡す形 |
| 立ち上がり | 窓口と作業する人が同じで、話が早い | 事務所の受け入れの時期による | 現状の把握と、手順の取り決めから始める。期間は会社ごとに確かめる |
| こちらのやり方への追随 | 合わせてもらいやすい | 事務所の様式に寄る | 標準の手順に寄せる提案を受けることがある |
| 費用の出方 | 時間単価など、人によって違う。範囲の外は都度の相談 | 顧問料に含むか、別建てかが事務所で分かれる | 範囲を決めて月額。範囲の外は増える |
| やめたときに社内へ戻るもの | 契約に書かなければ、手順は本人の手元に残る | 帳簿と申告書は残る。日々の手順は契約しだい | 手順書を渡すかどうかを、契約で決められる。会社ごとに確かめる |
| 情報管理の形 | 個別に取り決める | 事務所の規程による | 会社としての規程と契約で決める |
表の1行目が、この記事でいちばんお伝えしたい行です。ここだけは、契約の前に言葉にして聞いてください。
主軸|「担当が止まったとき、誰が代わるか」
経理は、止まった分を翌月に持ち越せない仕事です。給与の支払日は動きませんし、取引先への支払期日も動きません。だから外注先の比較では、平常時の性能より先に、止まったときの復旧のしかたを比べます。
止まり方は、3つに分けて考えます。
- 短い期間、止まる。体調不良、家庭の事情、繁忙。
- 長い期間、止まる。入院、転居、廃業。
- 関係が終わる。契約の解除、条件の交渉の決裂、先方からの辞退。
型Aで問題になるのは、1つ目と2つ目です。能力の話ではありません。本人が用意しないかぎり、代わりはいません。
代わりがいないときに困るのは、今月の処理が遅れることだけではありません。その人の頭の中にしかない処理のルールが、一緒に止まります。この取引先はこの科目で処理する、この支払だけは先方の締めが違う、といった判断がどこにも書かれていない状態です。社内で属人化が起きるときと同じ構造です(経理の属人化)。外に出しても属人化は解けません。属人化の場所が、社内から社外に移るだけです。
図2 担当が止まったときの代わり方
どの型でも、代わる人の名前とルールの在りかが答えに出てくるかで判断する。
契約の前に聞く質問は、次の3つです。
- 担当の方が2週間動けなくなったとき、誰が処理しますか。「調整します」という答えだけでは、代わりがいるかどうかが分かりません。役割や氏名まで出るかで判断します。
- その代わりの方は、当社の処理のルールをどこで知りますか。手順書があるのか、口頭で引き継ぐのか。「引き継ぎます」だけなら、復旧に時間がかかる前提で考えます。
- 契約が終わるとき、社内には何が戻りますか。データだけなのか、手順書とフローも戻るのか。あとの章で書きます。
型Aに不利な質問に見えるかもしれません。ただ、個人でも、同業の人と互いに代わる取り決めをしている、作業の手順を書いて共有している、と具体的に答えられるなら、1と2は満たせます。型で決めつけず、答えの中身で判断してください。
委託先が止まった場合に帳簿を取り出せるかどうかは経理を任せた会社が、明日止まったらどうなるかに、委託先の特定の担当者に頼りきっていないかの確かめ方は外に出しても、属人化は消えないに書きました。
第2の軸|税務の入口を、どちらが持つか
2つ目の軸は、税務との接続です。ここは型Bが強い領域です。
税務代理、税務書類の作成、税務相談は、税理士法第2条第1項に定める税理士業務です。同法第52条は、税理士または税理士法人でない者が税理士業務を行うことを、同法に別段の定めがある場合を除いて禁じています。シメゴも行いません。型Aと型Cは、受ける人が税理士でなければ、経理の実務がどれだけできても申告には入れません。
いまの状態ごとに、相性のよい型は次のようになります。
表2 いまの状態と、相性のよい型
| いまの状態 | 相性のよい型 | 理由 |
|---|---|---|
| 顧問税理士がいない | 型B | 記帳と申告を分けると、申告のために別に税理士を探すことになる |
| 顧問税理士がいて、記帳も任せている | 型Bの継続/型Cへの分離 | 顧問料の内訳を先に確かめる。記帳が含まれているなら、動かす理由は薄い |
| 顧問税理士がいて、記帳は社内 | 型Cまたは型A | 税務の入口は動かさず、日々の作業だけを外に出す形 |
| 月次の数字を早く見たい | 型C | 月次の締め日と提出物を、契約に書いて回す形にできる |
3行目と4行目では、税理士と代行の役割が重なりません。申告は税理士、日々の作業と月次は代行、と分けられます。シメゴもこの分け方で、顧問税理士はそのままに、記帳と経理実務の部分だけをお受けします。両者の線引きは経理代行と税理士の違いに書きました。
2行目の状態で、安くなりそうだという理由だけで型Cに切り出すのは、おすすめしません。顧問料の中に記帳が含まれている場合、記帳だけを外に出しても、顧問料が同じ額だけ下がるとは限らないためです。まず顧問料の内訳を聞いてください。税務の取扱いにかかわる判断は、自社のケースを顧問税理士にご確認ください。
第3の軸|やめたときに、社内へ何が戻るか
外注先の比較で抜けやすいのが、終わり方です。始めるときに終わりの話をするのは気が引けますが、決めていないと、やめたくてもやめられない状態になります。
戻ってくるものは、3層に分かれます。
- データ。仕訳、証憑、マスタ。返す範囲と形式を契約書に書いておきます。
- 手順。どの証憑をどう受け取り、どの順で処理し、どこで確認しているか。契約に書いていなければ、返してもらう根拠がありません。
- 判断の理由。なぜその科目なのか、なぜこの取引先だけ処理が違うのか。手順書に書かれていなければ、戻りません。
2と3が戻らないと、次の委託先か社内の担当者が、同じ確認を最初からやり直すことになります。契約のときに「手順書は誰のものか」「契約が終わるときに何を返すか」を決めておいてください。扱いは事業者ごとに違います。
社内へ戻す方向の話は経理の内製化に、委託先を切り替えるときの段取りは経理の引き継ぎに書きました。
シメゴに頼んだ場合の概算は、無料の経理コスト診断に入力いただくと、1営業日以内にメールでお返しします。
個人のほうが向いている会社の条件
シメゴは型Cですが、次の条件に当てはまる会社は、型Aのほうが合うと私は考えています。合わない会社に入っても双方が消耗するだけなので、はっきり書きます。
- 取引の件数が少ない。例外の処理もほとんどない。この規模で工程を分けても、分けた分だけ手間が増えます。
- 数週間止まっても困らない。支払と給与は社内で完結していて、外に出すのは記帳と資料作成だけ、という場合です。
- 社内に、内容を確認できる人がいる。誰も見られない状態で個人に委託すると、間違いに気づくのが決算のときになります。
- やり方を変えたくない事情がある。親会社や取引先の様式が決まっていて、標準の手順に寄せる提案が通らない場合です。
逆に、次のどれかがある会社は、型Aでは苦しくなります。給与計算を含む。支払にかかわる。月次を締め日どおりに出す必要がある。監査を受ける予定がある。どれも、止まると代わりが要る領域です。
経理代行をフリーランスに頼むときの費用と注意点
クラウドワークスの発注相場のページでは、記帳・領収書整理が1時間あたり1,500円からと案内されています(税込か税別かの記載はありません。2026年10月1日確認)。
時間単価で契約する場合、月額は稼働時間で決まります。見積の段階で、月に何時間かかる見込みかを聞いてください。月額が定額の会社と比べるときは、記帳だけか、請求や支払の準備まで含むかという範囲をそろえます。
注意点は5つです。
- 代わりの人。本人が動けないときに誰が処理するかを、名前で聞きます。
- 手順の書面。処理のルールを書いたものを共有してもらい、契約が終わるときに受け取ると決めておきます。
- 税務の線引き。相手が税理士でない場合、申告書の作成と税務相談は頼めません。
- 秘密保持と権限。秘密保持の契約を結び、渡す権限は仕事に必要な範囲に絞ります。支払の承認と振込の実行は社内に残します。
- 社内の確認者。出てきた数字を見る人を、社内に1人決めます。
税理士でない個人に、申告書の作成まで頼まない
税理士法第52条は、税理士または税理士法人でない者が税理士業務を行うことを、同法に別段の定めがある場合を除いて禁じています。記帳は個人に頼み、申告は税理士に依頼する、と分けてください。
個人事業主やフリーランスの方が、ご自身の経理を外に出す場合の考え方は、個人事業主・フリーランスの経理は外注すべきかに分けて書いています。
比較の進め方|見積を取る前にやること
相見積を出す前に、社内で次の4つを決めておくと、比較が成り立ちます。決まっていないと、各社が違う前提で見積を出すので、金額を並べても比べられません。
表3 見積を取る前に社内で決めること
| 決めること | 決め方 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 出す業務の範囲 | 工程の単位で線を引く(受け取る/入力する/確認する/報告する) | 「経理一式」で見積が来て、あとから範囲の外が積み上がる |
| 社内に残す確認者 | 最終的に数字を見る人を1名決める | 誰も見ない状態になり、誤りが決算まで残る |
| 締め日と提出物 | 何日までに何が出ていればよいかを、日付で書く | 「月次を早く」が合意にならず、遅れたときの責任があいまいになる |
| 止まったときの許容日数 | 何日止まると業務に影響が出るかを書き出す | 体制の比較ができず、価格だけの比較になる |
業務の単位で切るか工程の単位で切るかは経理業務のアウトソーシングに、金額の内訳の読み方は経理代行の料金相場と料金表に書きました。選ぶときにそろえる条件は経理代行の比較と選び方にまとめています。
同じ1枚の依頼文を、3社に渡す
各社の営業に口頭で説明すると、前提がずれます。上の4項目を書いた1枚を渡せば、返ってきた見積の差を、体制の差として読めます。
シメゴの場合
シメゴは型Cです。記帳から月次レポートまでを会社としてお受けし、会計の実務経験者が毎月チェックします。料金は税別・月額で、次の3プランです。
- ライト 月5万円(〜100仕訳)。記帳と、5営業日で納品する月次レポート。
- スタンダード 月10万円(〜300仕訳)。ライトに、請求書発行・入金消込と、支払管理(振込データ作成)が加わります。給与計算はオプションです。
- フル 月15万円(〜600仕訳)。スタンダードに、給与計算(〜20名)と、資金繰り表・経営ダッシュボードが加わります。
初月のみ、導入設定費が5万円かかります(クラウド会計の新規導入を伴う場合は10万円)。契約は6か月からで、仕訳数の超過は従量です。引き継ぎは最短1週間、会計ソフトはfreeeとマネーフォワードに対応しています。
3つの軸のうち、税務の入口ははっきりしています。税務申告と税務相談は行わず、提携税理士が担当します。顧問税理士がいる場合は、その先生と連携します。社会保険手続は提携社労士の担当で、決算は、決算前の資料整備までを行います。残りの2つは、この記事の3つの質問をそのままシメゴにも向けてください。
記帳だけが目的の会社には、シメゴより安い先があります。シメゴのトップページにも、そう書いています。前の章の条件に当てはまるなら、個人への委託を先に検討してください。
中小企業がどの業務から出すかは中小企業の経理アウトソーシングに、任せきりにできる範囲の線引きは経理の丸投げに書きました。頼み先を選ぶ段階が検討の全体のどこに当たるかは、経理アウトソーシングとは|委託できる業務・費用の相場・決める順番で順に説明しています。
この記事のまとめ
- 経理の外注先は、個人・会計事務所・BPOの3つの型に分かれる。料金と業務範囲を並べても決まらない。
- 比べる軸は3つ。担当が止まったとき誰が代わるか、税務の入口をどちらが持つか、やめたときに社内へ何が戻るか。
- 取引が少なく、数週間止まっても困らず、社内に確認できる人がいる会社には、個人への委託が合う。給与や支払にかかわる場合は、代わりがいる体制を選ぶ。
よくある質問
- 大手と中小企業向けの経理アウトソーシング会社は、どちらがよいですか
会社の規模では決まりません。見るのは、料金の単位が自社の量に合うかと、3つの軸への答えです。仕訳数で月額が決まる会社なら自社の仕訳数を当てはめ、人数や工数で決まる会社なら、範囲を書いた依頼文を渡して見積を取ります。そのうえで、担当が止まったとき誰が代わるかを聞いてください。
- 個人(フリーランス)に頼むときは、何に注意しますか
本人が動けないときに誰が代わるか、処理のルールを書いたものを残してもらえるか、秘密保持の契約を結べるかの3つを先に確かめます。相手が税理士でなければ、申告書の作成と税務相談は頼めないので、申告は税理士に依頼します。支払の承認と振込の実行は社内に残します。
- 比較サイトの順位は、当てになりますか
順位を決めた基準がページに書かれているかを、先に見ます。消費者庁は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)が、2023年10月1日から景品表示法違反になると案内しています。「広告」や「PR」の表示があるページは、広告として読みます。順位は候補を拾う入口として使い、決めるときは同じ依頼文で見積を取って、3つの軸で比べてください。
参考資料
- 国税庁「税理士制度のQ&A 2 税理士の業務」問2-1
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/02.htm - 国税庁「税理士制度のQ&A」問6-1(税理士法第52条)
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/qa/06.htm - 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/stealth_marketing/ - クラウドワークス「クラウドワークス発注相場」(経理・会計・事務)
https://crowdworks.jp/pages/guides/employer/pricing - シメゴ トップページ(料金、役割分担、よくある質問)
https://shimego.jp/
クラウドワークスの金額は、同社のページに載っている目安で、実際の報酬は依頼の内容と相手によって変わります。税務の取扱いは、顧問税理士にご確認ください。最終確認:2026年10月1日
いまの経理にかかる時間と費用を、無料で見える化します。
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無料コスト診断を受ける →※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について法的・税務上の判断を示すものではありません。委託先の体制・契約条件・料金は事業者により異なります。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。
