経理代行サービスの選び方|失敗しない7つのチェックポイント
経理代行サービスを数社並べて比較していると、どこも似たような説明に見えてきます。「丸投げOK」「月◯万円から」「クラウド対応」——言葉だけ追っても、自社に合うかどうかは判断しきれません。
実際に契約してから「思っていた範囲をやってくれない」「担当者が辞めて引き継ぎが止まった」と気づくケースは少なくないようです。そうならないために、契約前に見ておきたいポイントを7つに整理しました。
順番に確認していくと、各社の違いが具体的に見えてきます。
比較の前に:何を任せたいかを言語化する
チェックポイントに入る前に、ひとつだけ。「自社が何に困っていて、何を任せたいのか」を先に言葉にしておくと、比較が一気に楽になります。
- 記帳が溜まっていて月次が締まらないのか
- 経理担当が退職予定で穴が空くのか
- 数字を経営判断に使いたいのに出てくるのが遅いのか
困りごとによって、重視すべきチェックポイントの優先順位は変わります。全部を満点で満たす会社を探すより、自社にとって外せない項目はどれかを意識して読み進めてみてください。
もうひとつ、この7項目の手前で決まってしまうものがあります。そもそも個人(フリーランス)に頼むのか、会計事務所なのか、代行会社なのかという型の違いです。同じ7項目を聞いても、型が違えば答えの意味が変わります。とくに担当が止まったときの代わりの有無は、型でほぼ決まります。3つの型の比べ方は経理の外注先は、個人か・事務所か・BPOかにまとめました。
失敗しない7つのチェックポイント
① 料金体系が明朗か
最初に見るべきは料金の「分かりやすさ」です。
安さそのものより、何が基本料金に含まれていて、何が追加になるのかがはっきりしているかを確認します。よくあるのが、月額は安いのに仕訳件数や対応範囲で追加費用が積み上がり、結局割高になるパターンです。
確認したいのはこのあたりです。
- 月額に含まれる業務範囲はどこまでか
- 仕訳件数や取引量で料金が変わるか、その基準は明確か
- 決算対応・年末調整などのスポット業務は別料金か
料金の目安として、月5万円〜といった水準を示すサービスもありますが、これはあくまで標準的なケースの参考値です。自社の取引量で見積もるといくらになるかを、契約前に必ず出してもらいましょう。
② 対応してくれる業務範囲はどこまでか
「経理代行」とひとくちに言っても、カバー範囲はサービスごとに差があります。
記帳だけのところもあれば、月次レポートの作成まで含むところ、給与計算や請求書発行まで広く受けるところもあります。自社が任せたい業務と、サービスの対応範囲がどこまで重なるかを照らし合わせてください。
- 記帳・仕訳の入力
- 月次試算表・月次レポートの作成
- 請求・支払の管理
- 給与計算、年末調整(対応の有無は要確認)
ここがずれていると、「結局この部分は自社でやることになった」という事態になります。範囲外の業務がどう扱われるかまで聞いておくと安心です。
③ 使う会計ソフトは何か
意外と見落としがちなのが、会計ソフトの相性です。
すでにクラウド会計を使っているなら、そのソフトに対応しているかは重要な分かれ目になります。対応していなければ、データの移行や二重入力が発生し、かえって手間が増えることもあります。
- 現在使っているソフトをそのまま使えるか
- クラウド会計(freee、マネーフォワード等)に対応しているか
- データの受け渡しはどんな方法か
見積の段階で自社のソフトと代行会社のソフトが食い違ったときに取れる道は、代行会社が自社のソフトに入る、自社が移る、二重に持つ、の3つです。それぞれで増える手間と見積で聞く質問はfreeeのまま記帳代行を頼めるか|会計ソフトが代行会社と違うときの3つの分岐と、増える費用に整理しました。
これから会計ソフトを選ぶ段階なら、代行会社の推奨環境に合わせる選択肢もあります。ソフトとサービスをセットで考えると、後の運用がスムーズです。
④ 属人化・退職リスクへの備えがあるか
ここは見落とされやすいのですが、長く付き合ううえで効いてくるポイントです。
担当者ひとりに業務が集中していると、その人が辞めたり休んだりしたときに、対応が止まってしまうおそれがあります。社内で経理担当が辞めて困った——その悩みを解決するために代行を頼んだのに、今度は代行先の担当者に依存してしまうのでは本末転倒です。
- 業務が個人ではなくチーム・体制で回っているか
- マニュアルや手順が整備され、引き継げる状態か
- 担当が変わっても品質が保たれる仕組みがあるか
シメゴでは、AIによる下処理と人による確認を組み合わせ、属人化しない体制で進めています。「この人がいないと回らない」状態をつくらないことを大事にしています。
⑤ 月次レポートの質と締めの早さ
数字は、早く正確に出てこそ経営判断に使えます。
月次決算が遅いと、状況に気づくのが遅れ、打ち手も後手に回りがちです。いつまでに月次が締まり、どんなレポートが出てくるのかを確認しておきましょう。
- 月次の締めにどれくらい日数がかかるか
- 試算表だけか、読みやすいレポートまで出るか
- 数字について質問したとき、説明してもらえるか
シメゴは毎月5営業日での締めを基準にしています。「数字が出てくるのが翌々月」では判断材料になりにくいので、締めのスピードは比較軸に入れておくことをおすすめします。
⑥ セキュリティ・情報管理の体制
経理データは、会社の機密そのものです。
口座情報、取引先、売上、給与——外部に渡すからこそ、どう守られているかを確認しておく価値があります。
- データのやり取りや保管はどんな方法か
- 社内のアクセス管理・情報管理のルールがあるか
- 万一のときの責任範囲が契約に明記されているか
派手な認証マークの有無だけでなく、日々の運用でどう扱っているかを具体的に聞いてみると、姿勢が見えてきます。曖昧な答えしか返ってこない場合は、慎重になったほうがよいかもしれません。
⑦ 連絡の頻度と相性
最後は、地味ですが長期的に効いてくる「やりとりのしやすさ」です。
経理は毎月続く業務なので、質問への返答が早いか、連絡手段が合うか、話が通じるかは、想像以上にストレスや安心感を左右します。
- 連絡手段(チャット・メール・電話など)が自社に合うか
- 質問へのレスポンスの目安はどれくらいか
- こちらの状況を汲んで提案してくれるか
可能なら、契約前の打ち合わせや問い合わせのやりとりで反応の早さや丁寧さを見ておくとよいです。そこでの対応は、契約後の進め方をある程度映していることが多いです。
なお、すでに別の会社に委託していて選び直す場合は、この7項目の前にもうひとつ工程が入ります。いまの委託先から手順書とイレギュラー処理の理由を受け取ることと、旧・新が重なる期間をつくることです。順番を間違えて先に解約を伝えてしまうと、この2つが手に入らなくなります。切り替えの段取りは経理代行を切り替えるとき|いまの委託先から引き継ぐ手順と、止まる期間の作り方にまとめました。
もうひとつ、この7項目の裏側の話をしておきます。ここまではこちらが相手を見る観点ですが、代行会社の側も会社を見ています。相見積を出したのに返事が来ない、あるいは金額だけが相場より高く出るときは、選ばれなかったのではなく引き受けたあとに帳簿が作れないと判断されたことがあります。見られている側の条件は経理代行に断られる会社がある|受けてもらえない5つの状態と、直す順番に整理しました。比較が思うように進まない方は、先にこちらを確認してください。
まとめ:自社の優先順位で選ぶ
7つのチェックポイントを並べましたが、すべてを満点で満たす一社を探す必要はありません。
大事なのは、最初に言語化した「自社の困りごと」に照らして、外せない項目から優先順位をつけることです。
- 担当者の退職で困っているなら、④属人化対策と⑦連絡体制
- 数字を経営に使いたいなら、⑤レポートの質と締めの早さ
- コストを見極めたいなら、①料金体系の明朗さ
優先順位がはっきりすれば、各社の説明文の裏側まで読めるようになり、比較がぶれなくなります。
なお、7つの中に「距離」を入れるかどうかは、会社の状態で変わります。社内に現金・紙の郵便物・押印が残っているかで、近い委託先が有利かどうかが決まるためです。判定の手順は経理代行は近くの会社に頼むべきか|遠方でも回る条件と、回らない条件は3つで決まるに整理しました。地域名を付けて探しておられる方は、比較を始める前にこちらを先にお読みください。
シメゴは、月5万円〜・毎月5営業日締め・AI下処理×人の確認・属人化しない体制・クラウド会計対応を軸に、記帳から月次レポートまでを代行しています。今回の7つのチェックポイントで気になる点があれば、自社の取引量に当てはめた見積もりや、対応範囲をお伝えできます。比較検討の材料として、まずは料金プランをご確認ください。