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オンライン経理代行は遠方でも頼めるか|回る条件と回らない条件

オンライン経理代行は遠方でも頼めるか|回る条件と回らない条件

この記事の要点

  • オンライン経理代行が遠方でも回るかどうかは、社内に現金・紙の郵便物・押印がどれだけ残っているかで決まります。
  • 3つとも無ければ、距離は選定条件から外せます。2つ以上残っていて当面変えないなら、近くの会社のほうが合います。
  • 遠方に頼むなら、郵便物の扱い・原本の保管・質問の回答期限・訪問の有無と費用を、契約前に決めます。
目次
  1. 距離が効くのは、モノが動くときだけ
  2. 判定は3つ。現金・紙の郵便物・押印
  3. 遠方でも回っている会社に共通していること
  4. 「近さ」に期待していることを、もう一段だけ分解する
  5. 遠方に頼むと決めたら、契約前に4つ決める
  6. 近くの会社に頼んだほうがよい場合
  7. シメゴの場合と、正直に申し上げること
  8. よくある質問
  9. 参考資料

オンラインの経理代行を検討するとき、最初に引っかかるのは「遠くの会社に頼んで、本当に回るのか」です。近くの会社でないと不安だという感覚には、理由があります。経理には、人がその場にいないと終わらない仕事が含まれているからです。

先に結論を書きます。分かれ目は、業種でも売上規模でもありません。社内に「現金」「紙の郵便物」「押印」がどれだけ残っているか、この3つです。3つとも無い会社は、距離を選定条件から外して構いません。1つ残っているなら担い手を決めます。2つ以上残っていて当面変えないなら、近くの会社が合います。この記事は、その判定を自分でできるようにするための整理です。

委託先そのものの選び方は経理代行の比較と選び方|料金表を並べる前にそろえる7つの条件に、外に出す業務の範囲と進め方は経理の外注|任せられる業務・費用の目安・外部委託の進め方に書きました。本記事は、そこに入る前の「距離」に絞ります。

距離が効くのは、モノが動くときだけ

経理の仕事を、いったん2つに分けてください。データが動く仕事と、モノが動く仕事です。

データが動く仕事は、会計ソフトへの入力、残高の照合、月次の集計、資金繰り表の更新、質問と回答のやり取りです。これらは、担当者が隣の席にいても、300km離れていても、作業の中身が変わりません。変わるのは連絡の手段だけで、それは委託先が近くても電話とメールとチャットです。近い委託先が毎日顔を出すわけではありません。月1回の訪問がある契約と、訪問のない契約とで、月次の処理そのものは同じです。

モノが動く仕事は違います。現金を数える、郵便物を開封して仕分ける、通帳を記帳する、書類に印を押す、原本を保管する。これらは、誰かがその場所にいないと終わりません。だから、モノが動く仕事が社内にどれだけ残っているかで、距離の意味が変わります。

「近くにお願いしたい」の中身は2つある

1つは「モノを運ぶ相手が近くにいてほしい」、もう1つは「困ったときに来てもらえる安心がほしい」です。前者は実務の問題なので、次の節の3つの判定で答えが出ます。後者は、契約の書き方で埋められます。この2つを混ぜたまま探すと、判断の軸が定まりません。

判定は3つ。現金・紙の郵便物・押印

委託先を探す前に、自社で確かめる3点です。この3つで決まるのは、距離が効くかどうかです。外に出せるかどうかは、別の話です。

図1 距離が効く3つのもの

1
現金
距離が効く理由数えて帳簿と合わせる作業は、その場でしかできない
遠方で回すなら小口現金をやめ、立替精算に寄せる
2
紙の郵便物
距離が効く理由届く先は会社の住所で、開封して仕分ける人が要る
遠方で回すなら社内でスキャンして共有する担当を置く
3
押印
距離が効く理由印は社内の金庫にあり、動かせない
遠方で回すなら承認をワークフローに、振込を電子承認に替える
判定3つとも無ければ距離は外せる。1つなら担い手を決める。2つ以上で当面変えないなら近くの会社

距離が効くのは、人がその場にいないと終わらない3つだけ。

残っているものなぜ距離が効くのか近い先に頼まない場合の代替
(1) 現金
小口現金、現金売上、手提げ金庫
実際に数えて帳簿と合わせる作業は、その場でしかできない。差異が出たときに「いつ・誰が・何に使ったか」を追うのも現地小口現金そのものを廃止して立替精算に寄せる。現金売上は日次で全額入金に統一する
(2) 紙の郵便物
請求書・納品書・支払通知の原本
開封・仕分け・スキャンをする人が要る。届く先は会社の住所であって、委託先の住所ではない社内でスキャンして共有する担当を置く。または郵便物の転送・私書箱・スキャン代行を挟む
(3) 押印
銀行届出印、契約印、社内の承認印
印そのものが社内の金庫にある。押す行為は代理できても、印を動かすことはできない承認をワークフローに置き換える。振込は電子承認に切り替える

判定は単純です。3つとも社内に無い、または既に代替に置き換わっている会社は、距離を選定条件から外して構いません。1つ残っているなら、その1つを誰が担うのかを決めれば遠方でも回ります。2つ以上残っていて、当面それを変える予定がない場合は、近い委託先のほうが合います。

(1) 現金:いちばん距離が効く

3つの中で最も強く効きます。現金は、残高が合わないことがあるからです。合わないときにやることは、金庫を開けて数え直し、レシートを並べ、日付をさかのぼることです。これを遠隔でやろうとすると、社内の誰かが同じ作業を全部やって、その結果だけを委託先に送ることになります。外に出した意味が薄れます。

ですから、現金が残っている会社は順序が逆になります。委託先を探す前に、まず小口現金を減らします。ここを飛ばすと、外に出しても現金まわりの作業は社内に残ります。廃止の進め方は小口現金の廃止|先に置き換え先を作らないと、必ず戻りますにまとめました。

(2) 紙の郵便物:距離ではなく「誰が開けるか」の問題

ここは誤解しやすいところです。郵便物は、委託先が近くても委託先には届きません。会社の登記上の住所か、事業所の住所に届きます。「近くだから郵便物を見てもらえる」が成り立つのは、委託先が定期的に訪問して回収する契約になっている場合だけです。

本当の論点は、開封して仕分ける人を社内に置けるかです。置けるなら遠方でも回ります。置けないなら、近い委託先に取りに来てもらうか、郵便の転送やスキャンの仕組みを挟むかの二択になります。

あわせて考えるのが、原本をどう保存するかです。国税庁は、紙で受け取った国税関係書類をスキャナなどで電子データにして保存する「スキャナ保存」の制度を案内しています。要件を満たせば、紙で受け取った国税関係書類を電子データで保存できます。要件は改正されることがあるので、移行するときは国税庁の最新の案内を確かめ、自社のケースは顧問税理士にご確認ください。制度の全体像は電子帳簿保存法への対応、経理のどこが変わる?中小企業がやるべきことを実務で整理に整理しています。

(3) 押印:印を渡すという発想をしない

銀行届出印を委託先に預けない

印を預かった側が振込を作り、実行し、通帳を確認する流れになると、社内の誰も途中を見られません。事故が起きたときに、何が起きたのかを再現することもできません。

押印が残っている場合は、近い委託先に押しに来てもらうより先に、押印を必要としない経路へ振込を移します。振込データを委託先が準備し、承認と実行は社内の権限者が行います。支払を外に出すときの範囲の決め方は支払代行とは|サービスの仕組みと選び方、任せてよい範囲に書きました。この形にすると、押印が要るのは契約書などに限られ、距離の問題ではなくなります。

遠方でも回っている会社に共通していること

遠方の委託先で経理を回すには、次の4つが要ります。この状態に無い会社は、距離の前にここを整えるほうが先です。

  1. 会計ソフトがクラウドで、口座とカードが連携されている。通帳の記帳や明細の取り込みを人がやっている段階だと、その人が社内に必要になります。
  2. 請求書の多くが電子で届く。すべてでなくて構いません。紙が残る分は、社内の誰かがまとめてスキャンして共有します。
  3. 社内に窓口が1人いる。これは距離に関係なく必要ですが、遠方の場合は特に効きます。質問の宛先が決まっていないと、委託先は誰に聞けばよいか分からず、確認が止まった分だけ締めが遅れます。
  4. 締めの日程が書面で決まっている。遠方に出すなら、いつまでに何がそろうかを先に決めておきます。

この4つのうち3番目と4番目は受け入れ体制の話で、委託先が近くても必要になります。窓口・承認・締めの確認という3つの役割の置き方は経理を外に出したあと、社内に誰を残すか|窓口・承認・締めの3役を決めないと戻ってくるに書きました。

「近さ」に期待していることを、もう一段だけ分解する

ここまでは実務の話です。ただ、近くの会社を探す理由は実務だけではありません。「近さ」に期待していることを3つに分けると、それぞれ答えが違います。

期待していること実際にどうか遠方で埋めるなら
困ったときにすぐ来てもらえる訪問の頻度は契約で決まる。近くても契約に無ければ来ない回答期限を契約に書く(例:営業時間内の質問はその日のうちに一次回答)
地元の商習慣を分かっている取引先ごとの例外処理は、地域ではなく会社ごとに違う。地元でも引き継ぎがなければ分からない例外処理の一覧を最初に渡す。手順ではなく「例外だけ」を挙げてもらう
顔を合わせたほうが安心できるこれは実務ではなく信頼の問題で、実在する要求。否定しない会う機会が要るなら、回数と時期を契約に書く

3つ目について、「オンラインで十分です」と言い切るつもりはありません。お金の話を任せる相手と一度も会わないのは、落ち着かないのが普通です。会う機会が要るかどうかを先に自社で決め、要るなら契約の条件に入れてください。

シメゴの入口は、30分・オンラインの無料診断です。現在の経理にかかる時間と費用を見える化します。申込は無料の経理コスト診断からどうぞ。

遠方に頼むと決めたら、契約前に4つ決める

距離の問題は、先に決めておけば小さくできます。契約前に書面で決めるのは次の4点です。

図2 遠方に頼む前に決める4つ

1
郵便物の扱い
決めること誰が開封し、いつスキャンし、どこに置くか
2
原本の保管
決めること社内のどこに、誰の管理で、何年置くか
3
質問の経路と期限
決めること連絡の手段、宛先、回答の期限
4
訪問の有無と費用
決めること年に何回、いつ、交通費は誰が持つか

決めるのは、モノの動かし方が2つと、先方との約束が2つ。

  1. 郵便物の扱い。誰が開封し、いつスキャンし、どこに置くか。週次なのか、届いた日なのか。ここが決まっていないと、資料がそろわず締めが遅れます。
  2. 原本の保管場所と保存年限。紙の原本は会社に残ります。国税庁の案内では、法人は帳簿書類を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存しなければなりません。青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度などは、10年間です。社内のどこに、誰の管理で置くかを先に決めてください。自社のケースは顧問税理士にご確認ください。
  3. 質問の経路と回答の期限。チャットなのかメールなのか、宛先は個人なのかグループなのか。回答の期限まで書いておくと、返事が遅いのか約束どおりなのかを、距離と切り離して判断できます。
  4. 訪問の有無と、その費用。年に何回、どのタイミングで、交通費は誰が持つのか。ここを曖昧にすると、見積を比べられません。見積の比べ方は経理代行の料金相場と料金表|月額が決まる要素と見積もりの比べ方に書きました。

近くの会社に頼んだほうがよい場合

次に当てはまる場合は、訪問できる距離の会計事務所や代行会社のほうが合うと考えています。

シメゴの場合と、正直に申し上げること

この記事のまとめ

  • データが動く仕事は、距離で中身が変わりません。距離が効くのは、現金を数える・郵便物を開ける・印を押すという、その場に人が要る仕事です。
  • 3つとも無ければ距離は選定条件から外せます。1つなら担い手を決めます。2つ以上残って当面変えないなら、近くの会社が合います。
  • 遠方に決めたら、郵便物の扱い・原本の保管・質問の回答期限・訪問の有無と費用を、契約前に書面で決めます。

よくある質問

オンライン経理代行だけで、経理は完結しますか

データが動く仕事(入力、照合、集計、質問のやり取り)は、オンラインで完結します。現金を数える、郵便物を開ける、印を押す仕事は、社内に人が要ります。この3つが残っている分だけ、社内の作業が残ります。

紙の領収書や請求書が多い会社でも、遠方の会社に頼めますか

社内に、開封してスキャンする人を置ければ頼めます。シメゴでは、紙の領収書をスキャンか撮影で共有いただきます。置けない場合は、紙を取りに来られる距離の会社が合います。

契約の前に、対面で会う必要はありますか

必要かどうかは、会社が決めることです。会う機会が要るなら、回数と時期、費用を契約に書いてもらってください。シメゴの無料診断は30分・オンラインで行います。

参考資料

  • 国税庁 タックスアンサー No.5930「帳簿書類等の保存期間」(令和7年4月1日現在法令等)
    https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5930.htm
  • 国税庁「スキャナ保存関係」
    https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/tokusetsu/03.htm

最終確認:2026年10月2日

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※本記事は、記載時点で公表されている公的機関の資料に基づく一般的な整理であり、個別の事案における取扱いや適否を判定するものではありません。制度は改正されることがあるため、細目と適用時期は各資料の最新版と顧問税理士にご確認ください。税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士の業務であり、当社では行いません。距離と訪問に関する記述は、経理の作業の性質から整理したもので、統計調査に基づくものではありません。

浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。専門は経営管理改革とSAP財務会計(FI)。直近はSAP導入プロジェクトのPMとして、50名超のチームを率い、経理部門約30名のメンバーをまとめました。経理代行「シメゴ」を設計・運営しています。

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