クラウド経理とは|クラウド会計と経理代行で、自計化はどこまで進むか

この記事の要点
- クラウド経理は、クラウド会計ソフトに銀行やカードの明細を連携させ、仕訳から月次までをネット上で進める経理のやり方です。
- 明細の取得と仕訳の候補づくりまでは自動で進みます。ソフトによっては、ルールを決めた取引の登録まで自動で進みます。ルールを決めて候補を確かめること、例外の取引、残高の照合の3つは人に残ります。
- 自計化は、入力を自社でやることより、数字を自社で読めることを到達点に置くと決めやすくなります。確認の部分は経理代行と分担できます。
クラウド会計は、中小企業の法人でも、インターネット経由で使える会計ソフトです。入れると、通帳を見ながら1件ずつ打つ作業は大きく減ります。それでも、入れただけで経理が終わるわけではありません。ソフトが運んでくれるところと、人が確かめるところが分かれるからです。
この記事では、まずクラウド経理という言葉の中身を整理します。そのうえで、freee とマネーフォワードで自動になること、人の確認が残るところ、自計化がどこまで進むか、経理代行と組み合わせるときの分担の順に書きます。会計ソフトの機能は、両社の公式ページに載っている範囲で書いています。
クラウド経理とは
クラウド経理は、クラウド会計ソフトを中心に据えて、経理の仕事をインターネット上で進めるやり方を指す言葉です。法令や会計基準で定義された用語ではありません。この記事では、次の4つがつながった状態をクラウド経理と呼びます。
- 法人の銀行口座やクレジットカードの明細が、会計ソフトに自動で入ってくる
- 入ってきた明細に、ソフトが仕訳の候補を出す
- 人がルールと候補、残高を確かめる
- 確かめた数字から、月次の試算表やレポートが出る
図1 クラウド経理の流れ(連携から月次まで)
1と2の候補づくりまでは自動で進む。月次の数字として使えるのは、3で人が確かめたあと。
クラウド会計との違い
クラウド会計は、ソフトの名前です。freee会計やマネーフォワード クラウド会計のように、インターネット経由で使う会計ソフトを指します。クラウド経理は、そのソフトを使って経理の仕事を回す進め方のほうを指します。
この2つを分けておく理由は、導入のあとにあります。クラウド会計を契約して口座を連携しても、候補を確かめる人と月次を締める日が決まっていなければ、数字は出てきません。ソフトを入れることと、経理が回ることは別の話です。
クラウド会計は道具、クラウド経理は進め方
導入で決まるのは道具までです。誰が確認し、いつ締めるかを決めたところから、クラウド経理になります。
クラウド会計(freee・マネーフォワード)で自動になること
freee会計とマネーフォワード クラウド会計の公式ページから、自動になる作業を拾いました。機能の名前や細かな仕様は2社で違いますが、明細を取り込み、仕訳の候補を出すという流れは共通しています。入力の効率化につながるのは、この2つです。
銀行・カードの明細の連携
銀行口座やクレジットカードを会計ソフトと連携させると、入出金や利用の明細が自動で取り込まれます。freee会計の機能ページには、銀行、クレジットカード、電子マネー、POSレジなどと業務データを連携して集約すると書かれています。マネーフォワード クラウド会計も、金融関連サービスとデータ連携し、明細データを自動で取得すると案内しています。
日付と金額を手で打つ作業が、ここでなくなります。ただし、現金で払った経費や、連携していない口座の動きは明細に出てきません。そこは別に入力します。
仕訳の候補
取り込んだ明細には、ソフトが勘定科目の候補を出します。マネーフォワード クラウド会計は、AIが勘定科目を提案し、自動で作られた仕訳候補を確認・登録すると説明しています。使うほど精度が上がるとも書いています。freee会計は、データを自動で取得して仕訳まで自動で反映すること、自動仕訳のルールや過去の仕訳の内容にもとづいてAIが仕訳をサポートすることを説明しています。
候補の先は、2社で書き方が違います。freee会計は、完全自動と、推測を人が確かめる半自動を組み合わせると説明しています。ルールを決めた取引は、登録まで自動で進められるということです。マネーフォワード クラウド会計は、自動で作られた仕訳候補を人が確認して登録する形です。
明細の流れのほかにも、自動になる作業があります。請求書、経費精算、給与計算を同じ系列のサービスでそろえると、そのデータが会計へ連携されます。領収書などの書類をアップロードすると、ソフトが読み取って仕訳にする機能も、2社とも公式ページに載せています。
表1 クラウド会計で自動になる範囲と、人が確かめること
| 作業 | クラウド会計がすること | 人が確かめること |
|---|---|---|
| 銀行・クレジットカードの明細 | 連携した口座・カードの明細を自動で取得する | 連携していない口座や現金払いが漏れていないか |
| 仕訳 | 明細から勘定科目の候補を出す。freee会計は、ルールを決めた取引を登録まで自動で進められる | ルールと候補が取引の中身に合っているか |
| 請求書・経費・給与 | 同じ系列のサービスから会計へデータ連携する | 連携元の入力が正しいか |
| 領収書などの書類 | アップロードした書類を読み取り、仕訳にする | 読み取った日付・金額・取引先が合っているか |
| 試算表・レポート | 登録済みの仕訳から帳票を出す | 預金や売掛金の残高が実際と合っているか |
表1の「クラウド会計がすること」の列は、freee会計とマネーフォワード クラウド会計の公式ページの記載によります(2026年10月2日確認)。仕訳の行のうち、登録まで自動で進められるという部分は、freee会計のページの記載です。マネーフォワード クラウド会計のページでは、仕訳候補を人が確認して登録すると書かれています。機能と料金はプランによって違い、改定もあります。導入の前に、各社の最新の案内をご確認ください。
人の確認が残るところ
自動化が進んでも、人の仕事は3つ残ります。自動に乗せるルールを決めて候補を確かめること、例外の取引を処理すること、月次の残高を合わせることです。
1つめは、ルールと候補の確認です。freee会計は、完全自動と、推測を人が確かめる半自動を組み合わせると説明しています。自動に乗せる取引を決めるのも、推測を確かめるのも人です。同じ支払でも、消耗品費か、交際費か会議費かは、取引の中身を知っている人が決めます。
2つめは、例外の取引です。毎月決まった取引は、ルールや過去の仕訳をもとにした候補が使えます。次のような取引は、ルールにも候補にも乗りません。
- 立替や仮払いの精算、複数の支払がまとめて1件で引き落とされている取引
- 返金、相殺、値引きが絡む取引
- 借入や設備投資など、回数は少なく金額が大きい取引
- インボイスや消費税の区分(課税・非課税・対象外など)の判定
消費税の区分のように税務の取扱いに関わるところは、自社のケースを顧問税理士にご確認ください。
3つめは、月次の残高の照合です。入力が終わっても、月次が締まったことにはなりません。預金の残高が通帳と帳簿で合っているか、売掛金と買掛金の残高が合っているか、計上の漏れや二重の計上がないかを確かめます。ここを飛ばすと、出てきた試算表の数字を信じてよいかが分からなくなります。
候補のまま登録しない
候補は、ソフトが推測したものです。取引の中身を確かめずに登録を続けると、決算の前にまとめて直すことになります。
図2 自動でできることと、人が確認すること
クラウド会計がすること
確認すること
クラウド会計が軽くするのは入力で、確認・例外・照合の3つは人に残る。
この3つを社内で持てるかどうかを確かめたい方は、シメゴの無料の経理コスト診断で、いまの経理にかかっている時間と費用を整理できます。
自計化はどこまで進むか
この記事では、自計化を、会社が自分で会計ソフトに入力し、帳簿をつけることの意味で使います。言葉の意味と、自計化するか外に出すかの決め方は、自計化とは|メリット・デメリットと、自社でやるか外に出すかの決め方にまとめました。
クラウド会計は、自計化のうち入力の部分を軽くします。明細の取得と仕訳の候補づくりはソフトが受け持つので、入力の自計化は導入と連携の設定で進みます。進みにくいのは、前の節で挙げた3つの確認です。ここは、経理の判断ができる人が社内にいるかどうかで決まります。
私は、自計化の到達点を「入力を自社でやること」ではなく「数字を自社で読めること」に置いています。入力をすべて社内で抱えても、月次が締まらず数字が見られなければ、自計化した意味が薄くなるからです。反対に、確認の一部を外に出していても、月次の数字が決まった日に手元へ届き、社長がそれを読んで判断できるなら、自計化の目的は果たせています。
クラウド会計は、次の順番で入れます。
- 連携する口座とカードを決めて、つなぐ。法人の銀行口座とクレジットカードを会計ソフトに連携させます。請求書や経費のサービスを使っていれば、それもつなぎます。
- 勘定科目と、自動に乗せるルールを設定する。自社で使う勘定科目を整え、毎月同じ取引に付ける科目を決めます。
- 毎月同じ取引から自動に乗せる。定額の支払や決まった取引先への請求から、候補が使える状態にします。
入れる前に、確認を誰が持つかと月次の日程を決めておきます。ここを決めないまま始めると、候補だけがたまり、月次が締まりません。確認の持ち方は自計化の記事の「自計化するか、外に出すかの決め方」に、月次の日程は月次決算とは?流れ・早期化のやり方と、締めが遅れる会社の共通点に書きました。経理全体のデジタル化を進める順番は経理DXは、どこから手を付けると止まらないか|ツール選定の前に決める順番に、自動化できる範囲と人に残る範囲はAI経理とは?経理業務のどこまで自動化できて、どこに人が残るのかに書きました。
経理代行と組み合わせるときの分担
確認を社内で持てない会社には、クラウド会計を使ったまま、確認の部分を経理代行に任せる組み合わせがあります。資料を丸ごと渡して入力してもらう形へ戻すのとは違います。明細の連携と仕訳の候補はそのまま使い、人の確認が要るところを外に出します。
表2 クラウド会計と経理代行を組み合わせたときの分担
| 工程 | 主な担い手 |
|---|---|
| 明細の取り込み・連携 | クラウド会計(自動) |
| 仕訳の候補を出す | クラウド会計(自動) |
| ルールと候補の確認・例外の取引 | 経理代行(人) |
| 月次の残高の照合 | 経理代行(人) |
| 月次レポートの作成 | 経理代行(人) |
| 取引の事実を伝える・数字を読んで判断する | 会社 |
最後の行は、どこに頼んでも会社に残ります。何の代金か、納品が済んだかを知っているのは会社の中の人です。出てきた数字を読んで手を打つのも会社です。
シメゴは、freee とマネーフォワードに対応した経理代行です。領収書・通帳・請求書をお預かりして仕訳まで代行し、月初から5営業日で締めて月次レポートを納品します。料金は月5万円(税別。ライト、仕訳数の目安100まで)からで、初月のみ導入設定費5万円がかかります。クラウド会計を新しく導入する場合は、初月に当社で設定します。この場合の導入設定費は10万円です。税務申告と税務相談は当社では行わず、提携税理士が担当します。プランと範囲はシメゴのトップページに載せています。
依頼しようとした代行会社が自社と別の会計ソフトを使っている場合は、分担の組み方が変わります。自社のアカウントに入ってもらうか、ソフトを移るか、二重に持つかの分かれ目はfreeeのまま記帳代行を頼めるか|会計ソフトが代行会社と違うときの3つの分岐と、増える費用に書きました。
この記事のまとめ
- クラウド経理は、明細の連携、仕訳の候補、人の確認、月次の4つがつながった進め方。
- 明細の取得と仕訳の候補づくりまでは自動で進む。ソフトによっては、ルールを決めた取引の登録まで自動で進む。確認・例外・照合の3つは人に残る。
- 自計化の到達点は、数字を自社で読めること。確認の部分は経理代行と分担できる。
よくある質問
- クラウド経理とクラウド会計は、何が違いますか
クラウド会計は、インターネット経由で使う会計ソフトのことです。クラウド経理は、そのソフトに明細を連携させ、仕訳の確認から月次までを回す経理の進め方を指します。ソフトを入れただけでは、クラウド経理にはなりません。
- クラウド会計の導入だけを頼めますか
シメゴでは、導入の設定だけをお受けする形はありません。経理代行とあわせてご契約いただく場合に、クラウド会計の新規導入を初月に当社で設定します。導入設定費は10万円です。
- クラウド会計を入れれば、経理の担当者は要らなくなりますか
ソフトを入れるだけでは、人の仕事はなくなりません。明細の取得と仕訳の候補づくりは自動になりますが、ルールと候補の確認、例外の取引、残高の照合の3つは人に残ります。この3つを社内で持つか、経理代行に任せるかを決めます。
参考資料
- freee「機能|中小企業向けクラウド会計ソフトのfreee会計」
https://www.freee.co.jp/accounting/small-medium/features/ - freee「freee会計」
https://www.freee.co.jp/accounting/ - マネーフォワード「機能のご紹介 - マネーフォワード クラウド会計」
https://biz.moneyforward.com/accounting/feature/ - マネーフォワード「マネーフォワード クラウド会計」
https://biz.moneyforward.com/accounting/ - シメゴ トップページ(料金、対応する会計ソフト、導入設定費)
https://shimego.jp/
会計ソフトの機能と料金は、プランと時期によって変わります。最終確認:2026年10月2日
※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について税務上の判断を示すものではありません。会計ソフトの機能・料金は各提供元の最新情報をご確認ください。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。
