記帳代行とは?依頼できる範囲・料金相場・自分でやる場合との違い
# 記帳代行とは?依頼できる範囲・料金相場・自分でやる場合との違い
「売上は伸びてきたのに、領収書とレシートの束が引き出しにたまっていく」。起業して1〜3年目の方から、この相談は本当に多く寄せられます。日中は本業で手一杯、夜になって会計ソフトを開いても、勘定科目の選び方で手が止まる。そのまま週末に持ち越し、気づけば数か月分がまとめて未入力になっている――。
そんなときに検討されるのが 記帳代行 です。この記事では、記帳代行とは何か、どこまで任せられるのか、料金の相場、そして自分でやる場合と比べて何が違うのかを、できるだけ正直に整理します。読み終わったときに「自分は頼むべきか、自分でやるべきか」を判断できる状態を目指します。
記帳代行とは何か(定義)
記帳代行とは、事業のお金の動きを会計帳簿に記録する作業を、外部の専門業者に任せることです。具体的には、通帳の入出金や領収書・請求書をもとに、「いつ・いくら・何のために」お金が動いたかを 仕訳 という形で会計ソフトに入力していく作業を指します。
ここで押さえておきたいのは、記帳代行は 「税理士の独占業務」ではない という点です。税務申告書の作成や税務相談は税理士だけが行える業務ですが、帳簿への入力作業そのものは、税理士以外の事業者でも代行できます。だからこそ記帳に特化した代行サービスが成り立っています。
補足:記帳代行で帳簿を整えた後の「確定申告」や「税務署への提出」は税理士の領域です。記帳と申告は分けて考えるのが基本です。
つまり記帳代行は、経理の最初の入口にあたる「入力」を肩代わりするサービスだと考えると分かりやすいです。
記帳代行で依頼できる範囲
「どこまでやってくれるのか」は、業者やプランによって幅があります。ここでは一般的に依頼できる範囲を整理します。
基本的に任せられること
- 仕訳入力:通帳・クレジット明細・領収書をもとに会計ソフトへ入力する
- 通帳や領収書の整理:バラバラの証憑を月単位で突き合わせ、漏れを確認する
- 月次の帳簿作成:月ごとに帳簿を締めて、試算表などの形に整える
このあたりが、記帳代行の中心です。「入力が終わって、月ごとに数字が見える状態になる」までが基本の守備範囲だと考えてください。
業者によっては任せられること
サービスによっては、記帳の周辺業務まで含めて対応します。たとえば次のようなものです。
- 請求書の発行:取引先への請求書作成・送付の代行
- 支払管理:支払期日の管理や振込データの準備
- 給与計算:従業員の給与・社会保険料の計算
- 月次レポート:数字を入力するだけでなく、経営判断に使える形でまとめる
ここまで来ると、単なる「入力代行」ではなく、後述する 経理代行 の領域に踏み込んでいきます。
記帳代行と経理代行の違い
混同されやすいので、はっきり分けておきます。
| 項目 | 記帳代行 | 経理代行 |
|---|---|---|
| 中心となる作業 | 仕訳入力・帳簿作成 | 記帳+請求・支払・給与・レポートまで |
| カバーする範囲 | 経理の「入力」部分 | 経理業務の「ほぼ全体」 |
| 向いている状況 | 入力だけ手放したい | 経理担当の役割をまるごと任せたい |
ざっくり言えば、記帳代行は「点」、経理代行は「面」です。入力だけ困っているなら記帳代行で足りますが、「請求も支払も給与もまとめて誰かに見てほしい」なら経理代行の方が向いています。自社がどちらを必要としているかは、後半の「向いている人・向かない人」で改めて整理します。
料金相場の目安
料金は 取引量(仕訳の件数)と、依頼する範囲でほぼ決まります。あくまで目安として、よくある価格帯を示します。
- 記帳のみ・取引量が少ない場合:月1万円前後から
- 取引量が中程度の場合:月1〜3万円程度
- 請求・支払・給与など経理業務まで含む場合:月5万円程度〜
注意:上記はあくまで一般的な目安であり、金額を保証するものではありません。実際の料金は、仕訳件数・事業形態・必要な業務範囲によって変わります。
料金を比較するときは、金額だけでなく 「どこまで含まれているか」 を必ず確認してください。「月額が安いと思ったら入力だけで、請求書発行は別料金だった」というのはよくある話です。範囲と価格はセットで見るのが鉄則です。
なお、シメゴでは記帳・請求書発行・支払管理・給与計算・月次レポートまで丸ごと代行して 月5万円〜、毎月 5営業日で締めて納品 する形をとっています。AIで下処理をし、最後は人(プロ)が確認するハイブリッドなので、入力だけでなく「経理担当の役割そのもの」を任せたい方に向いた設計です。
自分でやる場合の時間コストと限界
「お金を払うくらいなら自分でやる」という判断も、もちろんあります。実際、起業初期は自分で記帳している方が大半です。ただ、ここには見えにくいコストがあります。
時間という見えないコスト
記帳は、慣れていないと 1か月分で数時間〜半日 かかることが珍しくありません(取引量によります)。これを毎月続けると、年間でまとまった時間が「入力作業」に消えます。その時間を本業の営業や商品改善に充てていたら――と考えると、無料ではないことが分かります。
自分でやることの限界
- 判断に迷う:勘定科目の選び方、経費かどうかの線引きで手が止まる
- 後回しになる:本業が忙しいと記帳は真っ先に後回しになり、まとめて溜まる
- ミスに気づけない:入力した本人がチェックするため、誤りが残りやすい
- 属人化する:自分しか帳簿の中身を分からず、急に手が回らなくなると止まる
特に怖いのが、確定申告の直前にまとめて処理しようとして破綻するパターンです。1年分の領収書を前にして、記憶も曖昧なまま入力するのは、ミスも見落としも増えます。
自分でやること自体は悪くありません。ただ、「自分でやれる量」を超えたときに、引き際を決められるかが分かれ目になります。
向いている人・向かない人
最後に、記帳代行を頼むべきか・自分でやるべきかの判断材料を整理します。
記帳代行が向いている人
- 売上が伸びてきて、記帳の時間が本業を圧迫している
- 領収書や通帳の整理が 数か月分たまっている
- 勘定科目の判断に自信がなく、正確な帳簿にしたい
- 経理担当が急に辞めて、今すぐ穴を埋めたい(即対応・最短1週間で開始できる業者もあります)
- 入力だけでなく、請求・支払・給与まで含めてまるごと手放したい(この場合は経理代行寄り)
自分でやる方が向いている人
- 取引件数がごく少なく、月の入力が短時間で終わる
- 数字を自分の手で触ることで、お金の流れを体感したい
- まだ売上が小さく、コストを極力かけたくない立ち上げ期
判断の軸はシンプルです。「記帳にかかる時間 × あなたの時給」が代行費用を上回るなら、外注した方が合理的だということ。逆に、まだ取引が少なく時間も取られていないなら、無理に頼む必要はありません。
まとめ:まずは自分のコストを把握する
記帳代行とは、経理の入口である「入力」を専門業者に任せる仕組みです。仕訳入力や証憑整理が中心で、請求・支払・給与まで広げると経理代行の領域になります。料金は取引量と範囲で決まり、自分でやる場合は「見えない時間コスト」と「後回し・ミス・属人化」という限界がついて回ります。
大切なのは、頼むか頼まないかを 感覚ではなく数字で判断する ことです。今あなたが記帳に使っている時間を時給換算してみると、外注した方が得なのか、まだ自分でやるべきなのかが見えてきます。まずはご自身のコストを把握するところから始めてみてください。