経理BPOとは|中小企業が委託できる業務・費用・経理代行との違い

この記事の要点
- 経理BPOとは、記帳から月次の締めまでの経理業務を、流れごと外部の会社へ委託することです。
- この記事で公開ページを確かめた大手4社は、いずれも金額を載せていません。
- 中小企業は、いきなり全部を出さず、記帳、請求・支払、月次レポートの順に、月次が締まる単位で段階的に出します。
目次
経理の担当者が1人の会社では、その人が休むと月次の締めが止まりやすくなります。属人化を解きたいけれど、人を増やす余裕はない。そこで候補に挙がるのが経理BPOです。
ところが、大手のBPO会社のサービスページには、複数の拠点やグループ会社の経理の集約、連結決算といった話が出てきます。従業員が数十人の会社が何をどこまで任せられ、費用がどう決まるのかは読み取りにくい。
この記事では、言葉の意味と経理代行との境目、委託できる業務、費用の考え方、大企業向けと中小企業向けの違いを先に整理します。そのうえで、中小企業が段階的に外へ出す順番と、社内に残す機能を書きます。
経理BPOとは何か
BPOは Business Process Outsourcing の略で、業務の流れ(プロセス)を外部の会社に委託することを指します。経理BPOは、その対象を経理業務にしたものです。NTTファイナンスの解説は、自社で実施している経理業務を一部または一括で外部に委託すること、と説明しています。
各社の解説は、作業を1つ切り出して頼む形との違いとして、流れをまとめて預けることや、手順の見直しと運用の改善まで含めることを挙げています。領収書の入力だけを頼む形とは違い、証憑を受け取り、仕訳を起こし、月次の数字としてまとめるまでを続けて任せます。
預けるのは、流れと運用
入力の手を借りるだけなら、手順も期日も社内に残ります。流れごと預けると、決まった日に数字が出てくる状態を外の体制で保てます。
市場の大きさも見ておきます。矢野経済研究所は、2024年度の国内のBPOサービス全体の市場規模を、事業者売上高ベースで5兆786億5,000万円(前年度比4.0%増)と推計しています(2025年11月26日発表)。このうち、経理や人事の代行などを含む非IT系BPOは1兆9,566億5,000万円です。どちらも経理だけの数字ではありません。
経理代行と呼ばれるサービスとの境目
経理BPOと経理代行は、実務では重なります。公的な定義はなく、同じ内容のサービスを会社によって別の名前で呼んでいます。アウトソーシングは外部への委託を広く指す言葉で、BPOはその一つの形です。3つの言葉を並べると、次のようになります。
図1 経理BPO・経理代行・アウトソーシングの違い
経理BPOは、アウトソーシングのうち、流れをまとめて預ける形。運用の改善まで含むことが多い。
中小企業が頼み先を選ぶ場面では、呼び名の違いは決め手になりません。自社の何を、どこまで手放したいのかが決まっていれば、それを引き受ける相手かどうかで選べます。シメゴは経理代行と名乗っていますが、記帳から月次レポートまでを続けてお受けします。派遣との違いや契約の形は、経理アウトソーシングとはにまとめました。
経理BPOで委託できる業務
委託できる業務は、日々の処理と月次の締めに分かれます。各社の公開ページに載っている業務を、外に出せる作業と社内に残ることに分けて並べました。
表1 経理BPOで委託できる業務と、社内に残ること
| 業務 | 外に出せる作業 | 社内に残ること |
|---|---|---|
| 記帳・仕訳 | 証憑を受け取り、仕訳を入力する | 証憑を渡す。科目のルールを決める |
| 請求書の発行・入金消込 | 請求書を作って送り、入金と突き合わせる | 請求の内容と金額を確定する |
| 支払 | 支払の一覧と振込データを作る | 支払を承認し、振込を実行する |
| 経費精算 | 規程に沿って申請の内容を確かめる | 規程を決める。例外を承認する |
| 給与計算 | 勤怠をもとに支給額と控除額を計算する | 勤怠を確定する。支給額を決める |
| 月次の締め・レポート | 残高を照合し、試算表とレポートを作る | 数字を読み、次の手を決める |
| 税務申告・税務相談 | 税理士に依頼する(税理士の業務) | 申告の内容を確認する |
大手の会社のページには、もっと先の業務も載っています。ビジネスブレイン太田昭和は決算や連結決算を、NTTデータ・ウィズは固定資産や一般会計を挙げています。
シメゴの範囲はプランごとに決まっています(下の費用の節)。税務申告と税務相談は提携税理士、社会保険の手続きは提携社労士が担当します。経理に限らず総務や労務まで含めて考える場合は、バックオフィス代行の記事で出す順番を整理しています。
日次の処理をまとめて出す
日々発生するのは、証憑の受け取り、仕訳の入力、請求書の発行、入金消込、支払データの作成です。どれも手順を決めれば同じやり方で繰り返せるので、外に出しやすい業務です。
まとめて出すのには理由があります。請求書の発行と記帳を別々の相手に頼むと、「発行した請求書の情報を記帳の担当へ渡す」という受け渡しが社内に残ります。同じ相手に出せば、その受け渡しも外の体制の中で済みます。
前提になるのは、証憑が決まった日に相手へ届くことです。誰が、いつまでに、何を渡すのかを先に決めておきます。
月次の締めまで出す
月次の締めでは、預金や売掛金の残高を照合し、試算表を確定させ、レポートにまとめます。ここまで出すと、毎月の数字が出る日が契約で決まります。シメゴでは、月初に資料を共有いただき、月初から5営業日で月次レポートを納品します。
締めを外に出す場合は、日次の処理も同じ相手に出しておくほうが進めやすくなります。締めの作業は、その月の仕訳がそろっていないと始められないからです。
決算と申告は分けて考えます。申告は税理士の業務です。シメゴが行うのは決算前の資料整備までで、申告は提携税理士が担当します。
費用の考え方
経理BPOの費用は、3つの要素で決まります。1つめは範囲で、記帳までか、請求・支払までか、月次レポートまでかで変わります。2つめは量で、仕訳の数、請求書の枚数、給与計算の人数が増えるほど上がります。3つめは始めるときの費用で、引き継ぎや会計ソフトの設定にかかる分です。
金額の目安を載せている記事を2つ挙げます。マルゴトの記事(2026年6月18日更新)は、自社のサービスを含む10のサービスを比べた記事で、月額の目安を次のように示しています。税込か税別かの記載はありません。
- 記帳代行のみ(小規模):数万円〜
- 請求書処理+仕訳+月次締め:10〜30万円前後
- 経理業務の包括委託(中小企業):15〜50万円前後
- 専門性の高い業務を含む包括委託:50万円〜(要見積)
アスピックの比較記事(2026年8月10日更新)は、中小・中堅企業向けのサービスなら月額5万円前後から依頼できるとしています。こちらも税込か税別かの記載はありません。2つの記事は、範囲も会社の規模もそろえていません。金額の幅をつなげて読まず、自社の範囲と量で見積を取って確かめてください。
シメゴの料金は、仕訳数で決まる3つのプランです(税別・月額)。
- ライト:月5万円(〜100仕訳。記帳、月次レポート5営業日)
- スタンダード:月10万円(〜300仕訳。ライトに加えて、請求書発行・入金消込、支払管理=振込データ作成。給与計算はオプション)
- フル:月15万円(〜600仕訳。スタンダードに加えて、給与計算〜20名、資金繰り表・経営ダッシュボード)
初月のみ導入設定費が5万円かかります(クラウド会計の新規導入を伴う場合は10万円)。契約は6か月からで、仕訳数が目安を超えた分は従量です。
月額だけで判断しないでください。経理担当を1人採用すると、実質で月33万円〜のコストになります(給与約25万円、社会保険の会社負担約3.8万円、賞与の月割約4万円。一例・目安)。ここに採用、教育、急な欠勤、退職時の引き継ぎの負担が乗ります。見積の内訳の比べ方は、経理代行の料金相場と料金表に書きました。
大企業向けのBPOと、中小企業向けの違い
大手のBPO会社4社(ビジネスブレイン太田昭和、NTTデータ・ウィズ、パソナグループ、ビーウィズ)の公開ページを読みました。対象とする会社の規模は、4社とも明記していません。業務としては、パソナグループが複数拠点の経理の集約やグループ各社のシェアード業務を、ビジネスブレイン太田昭和が決算・連結決算を挙げています。
マルゴトの記事は、サービスを4つの型に分け、その1つを「中堅〜大企業向け 大規模BPO型」としています(該当サービスの例は、パソナの経理代行サービスとトランスコスモス)。この型は費用と運用コストがどちらも高い傾向にあるとして、従業員100名以下の企業には、自社のサービスを含む別の型を勧めています。
表2 大手のBPO会社の公開ページと、中小企業向けの例(2026年10月1日時点)
| 比べる点 | 大手のBPO会社の公開ページ(4社) | 中小企業向けの例(シメゴ) |
|---|---|---|
| 体制 | ビジネスブレイン太田昭和のグループは、国内10カ所、海外1カ所にBPOセンターを設置と記載。NTTデータ・ウィズは、全国7エリアでBPO拠点を運用と記載。パソナグループは、オンサイトとオフサイトのどちらにも対応する | 窓口はシメゴひとつ。会計の実務経験者が毎月チェックする。税務は提携税理士、社会保険の手続きは提携社労士が担当する |
| 業務の例 | 決算・連結決算(ビジネスブレイン太田昭和)。複数拠点の経理の集約、グループ各社のシェアード業務(パソナグループ)。請求書、領収書、出納、固定資産、一般会計(NTTデータ・ウィズ) | 記帳・仕訳、月次レポート、請求書発行・入金消込、支払の振込データ作成、給与計算 |
| 費用の決まり方 | 4社とも、公開ページに金額を載せていない | 仕訳数で決まる月5万円・10万円・15万円の3プランを公開している(税別) |
| 始まるまでの流れ | ビーウィズは、企画・設計、業務構築、運営、運用改善の4段階を示している | 無料の経理コスト診断、見積・契約、初月の引き継ぎ・設定(最短1週間)、毎月の運用 |
中小企業が確かめるのは、拠点の数よりも、自社の量に合うかどうかです。アスピックは、中小向けのサービスを、依頼する業務の量が少なく予算を抑えたい場合に向く型と説明しています。月の仕訳が数百件の会社なら、まず金額と範囲を公開しているサービスで比べると、見積の前に費用の見当がつきます。
グループ会社の経理を1か所に集める場合は、BPOのほかにシェアードサービスという選択肢があります。経理のシェアードサービスとはで、集約の順番を整理しています。
いきなり全部ではなく、段階的に外部化する
経理BPOの導入で私が勧めないのは、初日から全業務をまとめて渡す進め方です。おすすめは、月次が締まる単位で区切り、薄く始めて広げる進め方です。
初日から全部を渡さない
記帳、請求、支払、給与を同じ月に切り替えると、引き継ぐ手順と質問が一度に重なります。どこで数字がずれたのかも追いにくくなります。
図2 段階的に外へ出す順番
次の段階へ進むのは、いまの段階で月次が締まるようになってから。
段階1は記帳です。判断の少ない記帳から預けます。最初に仕訳のルールをすり合わせ、証憑を渡す日と質問のやり取りの仕方を決めます。この段階で、外部とやり取りする型が社内にできます。
段階2は請求・支払です。記帳で月次が締まるようになったら、請求書の発行、入金消込、支払データの作成へ広げます。振込を実行する最後のボタンは社内に残し、その手前までを任せます。
段階3は月次レポートです。締めた数字を、毎月決まった日にレポートとして受け取ります。数字が早く出る分だけ、打ち手を考える時期も早まります。
シメゴのプランも、この順に広げられます。ライトは記帳と月次レポートで、最初の段階から5営業日で締めた数字が届きます。スタンダードで請求・支払が加わり、フルで給与計算と資金繰り表・経営ダッシュボードが加わります。データは自動連携で取り込み、会計の実務経験者が毎月チェックします。どの段階から始めるかは、無料の経理コスト診断で仕訳量を拝見してご提案します。
社内に残すべき機能
外部化は丸投げとは違います。手放す範囲を決めると、社内に残すものがはっきりします。残すのは3つです。
図3 社内に残す3つの機能
お金を動かす
数字を読む
基準を決める
外に出すのは実行と作業、社内に残すのは権限・判断・ルール。
お金を動かす最終権限。振込の実行と支払の最終承認は社内に残します。振込データを作る人と、実行する人を分けるためです。シメゴの支払管理も、振込データの作成までです。
数字を読む力。レポートを受け取っただけでは、会社は変わりません。上がってきた数字の意味を読み、次の打ち手を考えるのは経営側の仕事です。
自社のルールを決める役割。仕訳のルール、経費の基準、締めの日程は、社内で最終決定します。委託先はそのルールに沿って正確に回す役で、ルールを決める立場にはありません。
メリットと注意点
メリットは3つあります。1つめは、担当者が抜けても止まらないことです。手順を委託先の体制が持つので、退職や休職で月次が止まる心配が小さくなります。2つめは、数字の出る日が決まることです。3つめは、引き継ぎの過程で業務が可視化され、手順が標準化されることです。口頭で回していた作業を書き出すので、効率化の余地も見えてきます。
注意点も3つあります。Sansan(Bill One)の解説は、情報漏えいのリスク、コミュニケーションの不足、費用対効果の把握を挙げています。
- 情報の扱い:秘密保持契約を結び、誰がどのデータを見られるのかを契約の前に確かめます。シメゴでは、秘密保持契約を締結のうえ、アクセス権限を限定したクラウド環境でお預かりします。データの取り扱いルールは、契約時に書面でお渡しします。
- 連絡の窓口:委託先からの質問に答える人を、社内に1人決めます。答えが遅れると、その分だけ締めも遅れます。
- 費用対効果:範囲を広げるほど月額は上がります。出した業務で社内の時間がどれだけ空いたかを、段階ごとに確かめます。
注意点の具体例は、経理アウトソーシングはやめとけと言われる理由で扱っています。
失敗しない始め方
これから検討する会社に向けて、始める前に済ませておくことを4つ挙げます。
現状の手間とコストを可視化する。誰が、何に、どれくらいの時間をかけているのかが分からないまま外に出すと、効果を判断できません。残業や、本来の仕事が止まっている時間も、コストとして書き出します。
小さく始めて、引き継ぎの資料を残す。最初は一部の業務だけを渡します。そのとき、手順を口頭で伝えずに簡単な資料に残します。この資料が、属人化を解く材料になります。
相手の確認の体制を確かめる。自動化を使う会社でも、最後に人が数字を確かめているかを契約の前に聞きます。残高の照合と異常値の確認を、誰がどの時点で行うのかを聞けば分かります。
費用は範囲をそろえて比べる。月額に何が含まれ、何が別料金なのかを、見積ごとに同じ項目で並べます。
この記事のまとめ
- 経理BPOは、経理の流れと運用をまとめて外部に預けること。経理代行との間に公的な線引きはない。
- 公開ページを確かめた大手4社は、いずれも金額を載せていない。中小企業は、範囲と金額を公開しているサービスから比べる。
- 記帳、請求・支払、月次レポートの順に、月次が締まる単位で段階的に出す。
- 社内には、権限・判断・ルールを残す。
よくある質問
- 経理BPOと経理代行の違いは何ですか
公的な線引きはありません。経理代行は記帳や請求書の発行といった作業の単位で頼むサービス、経理BPOは流れと運用の改善までまとめて預けるサービス、という使い分けが各社の解説に見られます。同じ内容を別の名前で呼ぶ会社もあるので、名前より範囲で確かめます。
- 中小企業でも使えますか
使えます。大手のBPO会社のページでは、パソナグループが複数拠点の経理の集約やグループ各社のシェアード業務を、ビジネスブレイン太田昭和が決算・連結決算を挙げています。中小企業向けには、月額と範囲を公開しているサービスがあります。シメゴのライトは、月100仕訳までを目安にした月5万円のプランです(税別)。
- 費用はいくらですか
範囲と量で決まります。マルゴトの記事は、請求書処理・仕訳・月次締めで月10〜30万円前後、中小企業の包括委託で月15〜50万円前後を目安としています。アスピックは、中小・中堅企業向けなら月額5万円前後からとしています。どちらの記事にも、税込か税別かの記載はありません。シメゴは月5万円・10万円・15万円の3プランです(税別。初月のみ導入設定費5万円)。
- 失敗しないためには、どうすればよいですか
初日から全部を渡さず、記帳から始めて、月次が締まるのを確かめてから範囲を広げます。あわせて、振込の実行、数字の判断、ルールの決定を社内に残します。
参考資料
- 矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査を実施(2025年)」(2025年11月26日発表)
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3973 - NTTファイナンス「経理業務のBPOとは?導入のメリットや失敗しない選び方を解説」
https://www.ntt-finance.co.jp/billing/biz/column/20241113_4 - Sansan「経理BPOとは?経理業務をアウトソーシングするメリットと注意点を解説」(Bill One)
https://bill-one.com/knowledge/accounting-bpo/ - パーソルビジネスプロセスデザイン「経理業務のBPOとは?依頼するメリットや市場規模、サービス会社の選び方を解説」
https://www.persol-bd.co.jp/service/bpo/s-bpo/column/accounting-bpo/ - マルゴト「経理BPOおすすめ10選!委託できる業務内容や利用するメリット」
https://marugotoinc.jp/blog/keiri-bpo/ - アスピック「経理アウトソーシング会社の比較18選。中小から大手向けまで紹介」
https://www.aspicjapan.org/asu/article/37210 - ビジネスブレイン太田昭和「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」
https://www.bbs.co.jp/bpo/ - NTTデータ・ウィズ「経理BPO」
https://www.nttdata-with.com/service/accountingbpo.html - パソナグループ PASONA BIZ「経理BPO」
https://www.pasonagroup.biz/service/bpokeiri - ビーウィズ「経理BPO」
https://www.bewith.net/service/bpo-service/accounting/
最終確認:2026年10月1日
※費用と対応範囲は、依頼先ごとの条件で異なります。他社の体制・業務・金額は各社の公開ページの記載によるもので、当社が保証するものではありません。本記事は一般的な整理であり、個別の事案について法的・税務上の判断を示すものではありません。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。
