経理代行と記帳代行の違い|頼める範囲・料金・向いている会社

この記事の要点
- 経理代行と記帳代行の違いは、月次が締まるところまで受け持つかどうかにあります。
- 記帳代行は仕訳の入力と帳簿・試算表の作成まで、経理代行は請求・支払・入金消込と月次の締めまでが範囲です。
- 税務申告と税務相談はどちらにも頼めず、税理士に依頼します。自社のケースは顧問税理士にご確認ください。
経理を外に出そうと調べはじめると、「記帳代行」と「経理代行」という2つの言葉に行き当たります。月額は記帳代行のほうが低く、名前も似ています。どちらに頼めば足りるのかは、名前を見ても判断がつきません。
以下では、それぞれに頼める範囲、料金の決まり方、税理士との線引きを順に書きます。後半では、自社にどちらが合うかを決めるための3つの質問を置きました。
経理代行と記帳代行の違いをひとことで
記帳代行は、会社から証憑を受け取り、仕訳を入力して、帳簿と試算表を作るところまでを受け持ちます。経理代行は、その前後にある請求書の発行、入金消込、支払管理と、月次の締めまでを受け持ちます。
私は、この2つの違いは月次が締まるところまで責任を持つかどうかにあると考えています。記帳代行の仕事は、証憑が届いたところから始まります。届くのが遅ければ、入力がどれだけ速くても試算表は遅れます。記帳だけを外に出しても、証憑が集まらなければ月次は早くなりません。
どちらも事業者が付けているサービスの呼び名なので、同じ名前でも頼める範囲は会社ごとに違います。見積を取るときは、呼び名でなく業務の一覧で確かめてください。
図1 業務の流れのうち、どこまでを受け持つか
記帳代行は入力から試算表まで。経理代行は請求・支払と月次の締めまで。申告は税理士。
記帳代行で頼めること
記帳代行に頼めるのは、帳簿を作る作業です。大きく2つに分かれます。会社が依頼できる範囲の全体は記帳代行サービスとはにまとめています。
仕訳の入力
領収書、受け取った請求書、発行した請求書、通帳やカードの明細を受け取り、取引ごとに勘定科目を割り当てて会計ソフトへ入力します。料金は、この仕訳の数を軸に決まるのがふつうです。
会社側には、証憑を集めて渡す仕事と、「この振込は何の代金か」といった質問に答える仕事が残ります。この2つが止まると、入力も止まります。
帳簿と試算表の作成
入力した仕訳から、総勘定元帳などの帳簿と試算表ができあがります。決算のときには、この帳簿が申告の土台になります。
試算表がいつ出るかは、証憑を渡した日で決まります。翌月の20日に資料を渡せば、試算表が出るのはそれより後です。入力を外に出しても、資料を渡す日が変わらなければ、月次の早さは変わりません。
記帳だけを出しても、月次は早くならない
月次が遅い原因が入力の手間にあるなら、記帳代行で解決します。原因が証憑の集まりや請求・支払の遅れにあるなら、記帳代行に出したあとも同じところで止まります。
経理代行で頼めること
経理代行は、記帳に加えて、お金が動く前後の実務を受け持ちます。記帳代行と重ならない部分は、次の3つです。
請求書発行・入金消込
売上の明細をもとに請求書を作って送り、入金があれば、どの請求の分かを突き合わせて消します。この作業が月次に入っていると、まだ入金されていない請求の一覧が毎月手元に残ります。請求の漏れと回収の遅れに、決算を待たずに気づけます。
支払管理
受け取った請求書を支払日ごとに並べ、振込のデータを作ります。シメゴの支払管理も、振込データの作成までです。振込を承認する操作は会社に残すのがよい、と私は考えています。作る人と承認する人を分けておけば、金額や振込先の誤りに気づく機会が1回増えるからです。
月次の締めとレポート
締める日を先に決め、その日までに記帳と残高の照合を終えて、月次の数字を届けます。締め日が決まっていると、資料を出す側の期日も逆算で決まります。シメゴでは、月初に資料を共有していただき、月初から5営業日で月次レポートを納めます。
シメゴの3つのプランと、頼める範囲
ライトは記帳と月次レポート(5営業日)です。スタンダードで、請求書発行・入金消込と支払管理(振込データ作成)が加わります。給与計算はスタンダードではオプション、フルでは20名まで含みます。フルには資金繰り表と経営ダッシュボードも付きます。
いまの仕訳の量と、請求と支払を誰が回しているかが分かれば、どの範囲まで外に出すのが合うかをお返しできます。無料の経理コスト診断は、入力が1分ほどで、通話なしでも受けられます。
料金の違い
月額だけを比べると、記帳代行のほうが低くなります。シメゴのトップページには、目安として次の金額を載せています。
- 記帳代行(記帳だけ):月5,000円〜3.5万円
- 税理士の顧問(記帳込み):月3〜5万円+決算
- シメゴ(経理代行。記帳から月次5営業日まで):月5万円〜
いずれも一般的な目安で、仕訳の量、地域、契約の範囲によって変わります。シメゴは最安の記帳代行ではありません。記帳だけなら、もっと安い先もあります。
金額の差は、料金の決まり方の差から来ています。記帳代行の料金は、主に仕訳の数で決まります。経理代行は、仕訳の数に、請求・支払・給与といった業務の範囲が加わって決まります。シメゴの料金(税別・月額)は次のとおりです。
- ライト:月5万円(〜100仕訳)。記帳・月次レポート(5営業日)
- スタンダード:月10万円(〜300仕訳)。請求書発行・入金消込、支払管理(振込データ作成)が加わる。給与計算はオプション
- フル:月15万円(〜600仕訳)。給与計算(〜20名)、資金繰り表・経営ダッシュボードが加わる
初月のみ導入設定費5万円(クラウド会計の新規導入を伴う場合は10万円)がかかります。契約は6か月からで、仕訳数の超過は従量です。
比べるときは、月額に、社内に残る作業の時間を足してください。記帳代行なら、証憑集め、請求書の発行、入金の確認、支払の準備は社内に残ります。それを社長が夜に片づけているのなら、その時間も費用のうちです。月額の内訳は経理代行の料金相場と料金表に、記帳代行の料金の決まり方は記帳代行の相場と料金表に書きました。
税理士との違い
記帳代行と経理代行のどちらにも、頼めない仕事があります。税理士法は、第2条第1項で税理士の業務を3つ定めています。税務代理、税務書類の作成、税務相談です。第52条は、税理士または税理士法人でない者がこの税理士業務を行うことを禁じており、違反には罰則があります。
税理士の資格を持たない事業者は、記帳代行でも経理代行でも、申告書の作成や税務相談を引き受けられません。帳簿を作るところまでが代行会社で、その帳簿をもとに申告するのは税理士です。どこまでが頼める範囲かは記帳代行は税理士法違反かで条文に沿って整理しました。
税理士の顧問契約には、記帳が含まれている場合と含まれていない場合があります。含まれていれば、記帳代行を別に頼む必要はありません。ただ、顧問契約の中心は申告と税務の相談です。請求や支払の実務まで含む契約かどうかは、契約書で確かめてください。
シメゴも、税務申告と税務相談は行いません。申告は提携税理士が、社会保険の手続は提携社労士が担当します。顧問税理士がいる会社は、その先生との契約はそのままで、記帳と経理の実務だけを任せられます。決算については、決算前の資料整備までがシメゴの範囲です。役割の分け方は経理代行と税理士の違いで詳しく書いています。税務の取扱いは会社ごとに違うので、自社のケースは顧問税理士にご確認ください。
表1 記帳代行・経理代行・税理士の比較
| 記帳代行 | 経理代行 | 税理士 | |
|---|---|---|---|
| 頼める業務 | 仕訳の入力、帳簿と試算表の作成 | 記帳に加えて、請求書発行・入金消込、支払管理、月次の締めとレポート | 税務代理、税務書類の作成、税務相談。契約によっては記帳も |
| 料金の決まり方 | 主に仕訳の数 | 仕訳の数と、任せる業務の範囲 | 顧問料と決算の報酬。契約の内容による |
| 月次の納期 | 証憑を渡した日から数える。締め日の約束は契約で確かめる | 締め日を契約で決める。シメゴは月初から5営業日 | 顧問契約の内容による |
| 向く会社 | 証憑集めと請求・支払を社内で回せていて、入力だけが重い会社 | 請求・支払まで手が回らない会社、月次を早く見たい会社 | 申告と税務の相談を任せたい会社 |
どちらが向いているか
記帳代行のメリットは、月額が低く、頼む範囲がはっきりしていることです。デメリットは、証憑集めと請求・支払が社内に残ることです。経理代行は、その残る部分まで任せられるのがメリットで、月額が上がるのがデメリットです。どちらが合うかは、次の3つの質問で決められます。
月次をいつ見たいか
年に1回の申告に間に合えばよいのなら、記帳代行で足ります。毎月の数字を翌月の早いうちに見て、仕入や採用の判断に使いたいのなら、締め日を契約で決められる経理代行が合います。
証憑を誰が集めるか
領収書や請求書を集めて、期日どおりに渡せる人が社内にいるなら、記帳代行で回ります。社長が自分で集めていて毎月遅れているなら、記帳代行に出しても遅れは残ります。経理代行に頼む場合も、証憑を出すのは会社です。違うのは、締め日から逆算した期日が決まり、何が足りないかの管理が月次の仕事に入る点です。期日と、足りない資料の扱いを、契約の前に確かめておきます。
請求と支払を誰が回すか
請求書の発行、入金の確認、支払の準備を担当する人が社内にいて、その人が当面辞める予定もないなら、記帳代行で足ります。社長がやっている場合と、担当者が1人しかいない場合は、経理代行が合います。この部分は、止まると取引先に影響が出るからです。
図2 3つの質問で、どちらが合うかを決める
月次をいつ見たいか
証憑を誰が集めるか
請求と支払を誰が回すか
3つとも「記帳代行で足りる」なら記帳代行。1つでも「経理代行が合う」に当たるなら、経理代行まで見積を取る。
3つのうち、月次の早さに最も効くのは質問2です。証憑が集まる仕組みがないまま入力だけを外に出すと、費用は増えたのに試算表が出る日は変わらない、という結果になります。
記帳代行から経理代行へ広げるとき
最初から経理代行にする必要はありません。記帳代行で始めて、あとから範囲を広げる道もあります。広げるきっかけになるのは、月次が遅い原因が証憑や請求・支払の側にあると分かったときと、請求や支払の担当者が辞めるときです。
広げるときは、先に次の3つを決めます。
- 請求書を作るもとになる売上の明細を、誰が、いつまでに渡すか
- 支払を承認するのは誰か。振込のデータを作る人と分けるか
- 月次を締める日と、そこから逆算した資料の期日
いまの依頼先が請求や支払まで引き受けているかも確かめます。引き受けていなければ、依頼先を替えることになります。そのときは、会計ソフトのデータと、勘定科目の使い方を新しい依頼先へ引き継ぎます。科目の割り当て方が途中で変わると、前の月と数字を比べられなくなるからです。
シメゴの場合、記帳と月次レポートだけのライトと、請求・支払まで含むスタンダード以上に分かれています。どこまで任せるかは、仕訳の量と、社内に誰が残るかで決まります。
この記事のまとめ
- 記帳代行は仕訳の入力と帳簿・試算表まで。経理代行は請求・支払・入金消込と月次の締めまで。
- 記帳だけ出しても、証憑が集まらなければ月次は早くならない。
- 月次をいつ見たいか、証憑を誰が集めるか、請求と支払を誰が回すか。この3つで決める。
- 税務申告と税務相談は、どちらを選んでも税理士に頼む。
よくある質問
- 記帳代行と経理代行は、どちらが安いですか
月額だけなら記帳代行です。シメゴのトップページに載せている目安では、記帳代行(記帳だけ)が月5,000円〜3.5万円、シメゴが月5万円〜です。ただし、記帳代行では証憑集めや請求・支払が社内に残ります。その作業にかかる時間を足して比べてください。
- 記帳代行から経理代行へ、途中で切り替えられますか
切り替えられます。いまの依頼先が請求や支払まで引き受けているなら範囲を広げ、引き受けていなければ依頼先を替えます。依頼先を替えるときは、会計ソフトのデータと勘定科目の使い方を引き継ぎます。解約の予告期間は、いまの契約書で先に確かめておきます。
- 税理士がいれば、記帳代行は要りませんか
顧問契約に記帳が含まれていれば、別に頼む必要はありません。含まれていない場合は、自社で入力するか、記帳代行に出すかを選びます。見分け方は記帳代行は税理士に頼むべきかに書きました。
- 経理代行は違法ではありませんか
税理士法が税理士に限っているのは、税務代理、税務書類の作成、税務相談の3つです(第2条第1項、第52条)。記帳や請求・支払の実務を代行すること自体は、この3つに当たりません。資格のない事業者が申告書の作成や税務相談まで引き受けている場合は、税理士法第52条に触れるおそれがあります。申告を誰が行うのかを契約の前に確かめ、自社のケースは顧問税理士にご確認ください。
参考資料
- 国税庁「税理士法基本通達」第2条《税理士業務》関係、第52条《税理士業務の制限》関係
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/zeirishi/02.htm - 国税庁「税理士制度」
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/seido2.htm - シメゴ「料金(税別・月額)」「相場の中で、シメゴはどこ?」「役割分担は、シンプルに」
https://shimego.jp/
記帳代行と経理代行の範囲は、事業者と契約によって異なります。本文の区分は一般的な分け方を示したものです。最終確認:2026年10月1日
記帳だけで足りるか、請求・支払まで出すか。
いまの仕訳の量と社内の体制をうかがい、外に出す範囲と費用の目安をお返しします。他社と比べるための材料として使っていただいて構いません。
無料コスト診断を受ける →※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について法的・税務上の判断を示すものではありません。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。
