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マイナンバーを代行会社に渡してよいか|委託できる範囲と、会社に残る監督の責任

マイナンバーを代行会社に渡してよいか|委託できる範囲と、会社に残る監督の責任
目次
  1. 1|委託に伴って渡すことは、番号法が認めている
  2. 2|委託しても、会社には監督の責任が残る
  3. 3|委託契約に入れる項目は、ガイドラインに並んでいる
  4. 4|再委託は、御社の許諾がなければできない
  5. 5|給与の計算そのものには、マイナンバーは要らない
  6. 6|委託先を選ぶときは、3つを具体的に聞く
  7. シメゴの場合と、お伝えしておくこと
  8. まとめ
  9. 参考資料・注意事項

給与計算を外に出す話が進むと、見積と作業範囲が固まったあとで、別の問いが出てきます。「従業員のマイナンバーを、社外の会社に渡してよいのか」。人事総務の担当の方にも、経営者の方にも、起こりうる疑問です。ここで話が止まる会社は少なくありません。翌年に持ち越しになることもあります。

先に結論を書きます。給与や年末調整の事務と一緒にマイナンバーを委託先へ渡すことは、法律で認められています。ただし、渡したあとも、委託先を監督する責任は御社に残ります。外に出せば管理の手間が消える、という形にはなっていません。

この記事では、給与計算・年末調整の外注を検討している方に向けて、委託できる範囲と、会社に残る監督の中身を、個人情報保護委員会のガイドラインで確かめられた範囲で整理します。条文の解釈や個別の事情での判断は、ガイドラインの原文と専門家にあたってください。当社の見解を書くところは「当社の理解では」と分けて書きます。

給与計算を社労士に頼むか、代行会社に頼むかの比べ方は給与計算は社労士に頼むか、代行会社に頼むかに書きました。この記事は、どちらに頼むにしても避けて通れないマイナンバーの渡し方だけを扱います。

1|委託に伴って渡すことは、番号法が認めている

マイナンバーは、法律で決められた場面でしか人に渡せません。番号法第19条が、渡してよい場面を列挙しています。その中に、事務の委託に伴って渡す場合が入っています(第19条第6号)。

会社が従業員のマイナンバーを使うのは、源泉徴収票や給与支払報告書を作る、社会保険や雇用保険の届出を出す、といった事務です。これらの事務の全部または一部を委託するとき、必要な範囲でマイナンバーを委託先に渡せます。委託先も、委託された事務の範囲でしか番号を使えません。

ですから「法律上、社外には一切出せない」と思い込んで外注をあきらめる必要はありません。論点は別にあります。問題になるのは、渡してよいかどうかより、渡したあとに誰が何を見張るかです。

2|委託しても、会社には監督の責任が残る

委託した会社に、委託先に対する「必要かつ適切な監督」を求めているのが番号法第11条です。自社で番号を扱う場合と同じ水準の安全管理措置が、委託先でも講じられるようにする、という趣旨です。

個人情報保護委員会の「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」は、この監督に3つが含まれるとしています。

  1. 委託先を適切に選ぶこと。設備、技術水準、従業者への監督・教育の状況、経営環境などを確かめます。
  2. 安全管理措置について、委託契約を結ぶこと。中身は次の節で表にします。
  3. 委託先での取り扱いの状況を把握すること。契約を結んで終わりにせず、守られているかを確かめ続けます。

外注を提案する側として書きにくいことですが、ここは先にお伝えします。当社を含めて、どの代行会社に出しても、この3つは御社の仕事として残ります。委託先が漏えいを起こしたとき、「任せていたので知らない」では済まない構造です。給与計算を2社に分けて出せば、監督する相手も2社になります。この点は経理と給与計算は、同じ会社にまとめて出すべきかでも触れました。

3|委託契約に入れる項目は、ガイドラインに並んでいる

監督の2つめにあたる委託契約について、ガイドラインは盛り込む内容を具体的に挙げています。契約書案を受け取ったら、次の表の左の列を探してください。見当たらない項目は、右の列の質問で聞き返します。

契約に入れる項目何を決めるか聞き返す質問の例
秘密保持義務番号を含む情報を外に漏らさない義務「契約が終わったあとも、守る義務は続きますか」
事業所からの持ち出しの禁止業務に必要な範囲を超えて、番号を事業所の外へ持ち出さない「在宅で作業する方が番号を見ることはありますか」
目的外利用の禁止委託した事務以外に番号を使わない「お預けした番号を、ほかの業務で参照することはありますか」
再委託の条件さらに外へ出す場合の手続き(次の節)「作業の一部を社外に出していますか」
漏えい等が起きた場合の委託先の責任事故のときに誰が何をするか「漏えいが起きたら、何時間以内に連絡をもらえますか」
契約終了後の返却または廃棄終わったあと、番号をどう戻すか・消すか「消したことを、どう確かめられますか」
従業者に対する監督・教育委託先の担当者の扱い「番号を扱う担当者は何名で、どんな研修を受けていますか」
遵守状況の報告契約が守られているかを報告してもらう「年に何回、どんな形で報告をいただけますか」

ガイドラインは、このほかに、番号を扱う従業者を明確にすることと、委託した会社が実地で調査できる規定も「望ましい」としています。8項目は、経理代行の一般的な契約書にある秘密保持や再委託の条文と重なる部分が多いものの、持ち出しの禁止と目的外利用の禁止は、給与を含まない経理の委託契約には入っていないことがあります。経理の契約書をそのまま給与に使い回していないかを確かめてください。契約書全体の読み方は経理の委託契約書は、金額の次にどこを読むかに書きました。

4|再委託は、御社の許諾がなければできない

マイナンバーを扱う事務の委託を受けた会社が、さらに別の会社へ出す(再委託する)には、委託した会社の許諾が要ります。番号法第10条の定めです。再委託先がさらに外へ出す場合も、最初の委託者、つまり御社の許諾が要ります。

普通の経理の委託では、再委託は契約書の書き方次第です。マイナンバーを含む事務では、法律の側が御社の許諾を条件にしています。言い換えると、御社が知らないうちに番号が別の会社へ渡ることは、法律上は想定されていません。実際にそうなっているかを確かめるのが、2の「把握」の仕事です。

5|給与の計算そのものには、マイナンバーは要らない

見落とされやすいのがここです。毎月の給与の額を計算する作業に、マイナンバーは使いません。番号が要るのは、税務署や市区町村、年金事務所、ハローワークに出す書類を作るときです。

そのため、委託の組み方は1通りではありません。

当社の理解では、どれが正しいかは会社の規模と、年末に社内で手を動かせる人がいるかで決まります。社会保険や雇用保険の届出を社労士に出している会社なら、番号の多くは社労士の側ですでに扱っているはずです。その場合は、給与計算の委託先にまで番号を渡す必要があるかを、先に確かめる価値があります。

6|委託先を選ぶときは、3つを具体的に聞く

監督の1つめ、委託先の選び方です。ガイドラインが挙げる確認事項を、面談で聞ける形にするとこうなります。

答えが具体的な委託先ほど、2の「把握」も楽になります。反対に「セキュリティは万全です」としか返ってこない場合は、監督の材料が手に入らないことになります。

シメゴの場合と、お伝えしておくこと

まとめ

マイナンバーは、給与や年末調整の事務の委託に伴って、委託先へ渡せます。ただし、委託先を選ぶ・契約を結ぶ・取り扱いを把握する、という監督の責任は御社に残ります。再委託には御社の許諾が要り、契約には持ち出しの禁止や目的外利用の禁止など、ガイドラインが挙げる項目を入れます。

そのうえで、給与の計算そのものには番号は要りません。番号を渡す範囲を小さくする組み方から考えると、監督の負担も小さくなります。

参考資料・注意事項

個人情報保護委員会「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(事業者編)」(第4-2-(1) 委託の取扱い)。番号法第10条・第11条・第19条。最終確認:2026年9月27日。制度は改正されることがあります。最新の内容は原文でご確認ください。

給与計算の出し方を、番号の渡し方まで含めて一緒に決めます。

いまの給与計算・年末調整の流れをうかがい、外に出せる範囲と、社内に残す作業、マイナンバーを渡す範囲を1枚にしてお返しします。他社でご契約いただく結論になっても構いません。

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※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について法的な判断を示すものではありません。番号法・ガイドラインの解釈は原文と専門家にご確認ください。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。社会保険・労務の手続きは提携の社会保険労務士が担当します。

浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。専門は経営管理改革とSAP財務会計(FI)。直近はSAP導入プロジェクトのPMとして、50名超のチームを率い、経理部門約30名のメンバーをまとめました。経理代行「シメゴ」を設計・運営しています。

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