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経理の採用が難しい理由|採用に頼らず経理を回す3つの方法

経理の採用が難しい理由|採用に頼らず経理を回す3つの方法

この記事の要点

  • 経理の採用が難しいのは、処理も判断も1人に任せる求人になっていて、当てはまる経験者が限られるからです。
  • 採れないあいだも、支払と月次は止められません。求人は続けたまま、業務を減らす、派遣を使う、経理代行に出す、の3つを並行して検討します。
  • 処理を外に出すと、採る人に求める条件が変わります。費用は、任せる範囲をそろえてから比べます。
目次
  1. 経理の採用が難しい理由
  2. 採用できないまま放置すると起きること
  3. 採用を続けながら、求人の条件を見直す
  4. 採用に頼らず経理を回す3つの方法
  5. 採用と経理代行の費用の比べ方
  6. よくある質問
  7. 参考資料

経理の求人を出したのに、応募が来ない。来ても、求める経験に届かない。そのあいだの支払と月次は、社長か、残った担当者が回している。この記事は、その状態にある会社に向けて書きます。

私は、経理の採用が難しい理由の多くは、求人の組み立て方にあると考えています。以下では、理由を2つに分けて示したあと、求人の条件の見直し方、採用に頼らずに経理を回す3つの方法、採用と経理代行の費用の比べ方を順に書きます。担当者の退職がきっかけで求人を出している会社は、先に経理が辞める会社はやばいのかを読んでください。退職日までに受け取る業務の順番を書いています。

経理の採用が難しい理由

理由は、仕事を探す人の側と、求人を出す会社の側に1つずつあります。

図1 経理の採用が難しい2つの理由

探す人の側
経験者の数が限られる
起きていること統計は求職者を経験で分けていない。経験を条件にすれば対象は一部に絞られる
会社にできること必須の条件と、入社後に覚えればよい条件を分ける
求人を出す側
1人に処理も判断も求めている
起きていること入力や発行の作業と、科目や支払の判断を、1つの求人に重ねている
会社にできること処理を外に出し、採る人には判断と確認を任せる
公表値会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍(令和8年7月、常用・パート含む)

条件を1つの求人に重ねるほど、当てはまる人は減る。

有効求人倍率は、厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表による

経験者の数が限られる

厚生労働省は、ハローワークの求人と求職の状況を職業別に毎月公表しています。令和8年7月分で「会計事務従事者」を見ると、有効求人が17,745人、有効求職者が31,928人で、有効求人倍率は0.56倍でした(常用・パート含む)。同じ月の新規求人は6,527人、紹介件数は10,321件、就職件数は1,432件です。同じ表の職業計は1.05倍、「一般事務従事者」は0.29倍です。

この数字では、会計事務の仕事を探す人が求人の数を上回っています。一方で、この表は、求職者を経験の年数やできる業務で分けていません。求人票に「実務経験3年以上」「月次決算を1人で締められる方」と書けば、対象はこの31,928人の一部になります。私は、求人が決まらない理由の一つはここにあると見ています。

なお、この統計はハローワークを通した求人と求職を集計したものです。求人サイトや人材紹介会社を通した分は含まれません。

求人倍率0.56倍の読み方

ハローワークの集計では、仕事を探す人の数は、求人の数より多い。私はこの数字を、採用が進まないときは人数を嘆く前に、求人票に並べた条件を見直す余地がある、と読んでいます。

1人に処理も判断も求める求人になっている

経理の仕事は、性質の違う2つに分けられます。

1つは処理です。領収書や請求書から仕訳を入力する、請求書を発行する、入金を消し込む、振込のデータを作る。手順が決まっていて、取引の量に応じて増える仕事です。

もう1つは判断です。どの科目で、どの月に計上するかを決める。支払ってよい請求かを確かめる。月次の数字を見て、おかしいところに気づく。社長や税理士からの質問に答える。会社の取引を知っていないとできない仕事です。

経理担当者を1人だけ置く会社が求人を出すと、この両方を1人に求める形になります。前任者が1人で両方を担っていたので、仕事内容の欄にその全部を書くことになるからです。処理を速く正確にこなせて、判断も任せられて、勤務地と給与と勤務時間も合う人。条件を重ねるたびに、当てはまる人は減ります。

採用が難しい原因は、1つの求人に、処理と判断の両方を載せていることにあります。ここを分けると、求人票の書き方も、採用以外の選択肢も変わります。

採用できないまま放置すると起きること

欠員が出ても、経理の仕事の量は減りません。採用が決まるまで、誰かがその分を持ちます。誰が持つかで、起きることが変わります。

3つめがいちばん重くなります。取引先への支払や税金・社会保険料の納付には期限があり、求人が決まるのを待ってくれません。期限のある業務の一覧は、経理が辞める会社はやばいのか|退職日までに会社がやることに表でまとめました。

「採用が決まったら」を期限にしない

採用が決まる日は読めません。求人を続けるかどうかとは別に、いつまでに決まらなければ別の方法に切り替えるかを、先に日付で決めておきます。

採用を続けながら、求人の条件を見直す

採用をやめる必要はありません。求人は出したまま、求人票を次の順で見直します。

  1. 仕事内容を、処理と判断に分けて書き出す。前任者がしていた仕事を1行ずつ並べ、どちらに当たるかを付ける
  2. 必須の条件と、入社後に覚えればよい条件を分ける。会計ソフトの操作や自社の科目の使い方は、入社後に覚えられる
  3. 働き方の条件を確かめる。フルタイムの専任だけで募集しているなら、短時間や週に数日の勤務でも回る量かを見る
  4. 給与を確かめる。同じ地域で、同じ仕事内容を載せている他社の求人と並べる

1で書き出した処理の仕事は、次の節の方法で社内から減らせます。減らしたあとの仕事量で2から4をやり直すと、求人票に残る条件は少なくなります。

条件を広げて未経験の人を迎える場合は、教える人が社内にいることが前提になります。この点は、末尾のよくある質問で触れます。

採用に頼らず経理を回す3つの方法

方法は3つあります。業務を減らす、派遣を使う、経理代行に出す。どれか1つを選ぶものではなく、組み合わせて使えます。採用を加えた比較を先に示します。

表1 採用・派遣・経理代行の比較

比べる点採用派遣経理代行(シメゴの場合)
契約の相手自社派遣会社経理代行の会社
仕事の指示自社が教え、自社が指示する派遣先である自社が指示する契約で決めた範囲を、代行側が行う
月の費用月およそ33万円(給与約25万円+社会保険の会社負担約3.8万円+賞与の月割約4万円。経験者を1人雇う場合の一例・目安)派遣会社の見積による月5万円から(税別。仕訳数で3プラン)
始めるまで求人から入社まで。日数は読めない派遣会社の紹介による引き継ぎは最短1週間
期間の決まり自社との雇用契約による同じ事業所での受け入れは原則3年まで(延長の手続と、対象外の人がある)契約は6か月から
社内に残る仕事教育と、処理の確認日々の指示と、処理の確認資料の共有と、支払の承認

業務を減らす

人を足す前に、仕事の量を減らします。量が減れば、求人票に書く条件も軽くなります。

どれも、やり方を決めて社内に伝える人が要ります。何から手をつけるかは、経理の人手不足の原因と対策の記事に書きました。

派遣を使う

派遣は、派遣会社が雇っている人に、自社で働いてもらう方法です。雇用主は派遣会社で、仕事の指示は派遣先である自社が出します。費用と、来てもらえるまでの日数は、派遣会社の見積と紹介によります。

使う前に確かめることが2つあります。

1つめは、指示を出す人が社内にいるかです。何を、どの順で、どう処理するかを決めて伝えるのは自社です。判断のできる人が社内にいない状態で派遣の人だけを迎えても、指示が出せません。

2つめは期間です。派遣先が同じ事業所で派遣を受け入れられる期間は、原則3年が限度です。3年を超えて受け入れようとする場合は、事業所の過半数労働組合などから意見を聴く必要があります。この手続で延長した場合も、同じ人を同じ課などの組織単位で3年を超えては受け入れられません。派遣会社で無期雇用されている人や60歳以上の人などは、この期間制限の対象外です。人が替われば、そのたびに自社が教え直します。

経理代行に出す

経理代行は、人を迎える代わりに、業務を渡す方法です。処理の仕事を、契約で決めた範囲で外に出します。

経理代行のシメゴの場合、ライトが月5万円(〜100仕訳。記帳と、月初から5営業日で納品する月次レポート)、スタンダードが月10万円(〜300仕訳。請求書発行・入金消込と、支払管理として振込データの作成が加わる。給与計算はオプション)、フルが月15万円(〜600仕訳。給与計算を20名まで含み、資金繰り表と経営ダッシュボードが加わる)です。いずれも税別の月額で、初月のみ導入設定費が5万円かかります(クラウド会計の新規導入を伴う場合は10万円)。契約は6か月からで、仕訳数が目安を超えた分は従量です。会計ソフトはfreeeとマネーフォワードに対応しています。税務申告と税務相談は当社では行わず、提携の税理士が担当します。社会保険の手続は提携の社労士が担当します。

外に出しても、社内に残る仕事があります。月初に資料を共有すること、支払を承認すること、処理についての質問に答えることです。判断の仕事は社内に残ります。

図2 処理と判断を分けたときの体制

業務社内(採る人・社長)外に出す仕事(経理代行)提携税理士(顧問税理士がいる場合はその税理士)
記帳領収書・請求書・通帳の資料を渡す仕訳の入力—
月次数字を読み、質問に答える月次レポートの作成—
請求と入金請求する内容を決める請求書発行・入金消込—
支払支払を承認する振込データの作成—
税務申告税理士からの質問に答える決算前の資料整備まで税務申告・税務相談
範囲外に出せる業務は契約で決まる。シメゴでは、請求書発行・入金消込と振込データの作成はスタンダードとフルに含まれる

外に出すのは処理。採る人の仕事は、資料を渡すことと判断・確認になる。

こうして処理が社内から減ると、採る人に求める条件が変わります。求人票から「仕訳入力の実務経験」「月次決算を1人で」を外し、「社内の資料を集めて、期日までに渡せる」「数字を見て、おかしいところを聞ける」に書き換えられます。仕事の量も減るので、専任で1人を置く形のほかに、総務との兼務や短時間の勤務で足りるかを確かめられます。条件が減った分、当てはまる人は増えます。

一人経理の会社が最初にどの業務を外に出すかは、中小企業の経理アウトソーシングの記事にまとめています。いまの仕訳の量で、どのプランに当たるかを知りたい場合は、無料の経理コスト診断からお知らせください。

採用と経理代行の費用の比べ方

経験者を1人雇う場合の費用を、給与約25万円、社会保険の会社負担約3.8万円、賞与の月割約4万円で試算すると、月およそ33万円になります。これは一例・目安で、給与の水準によって変わります。シメゴの月額は、プランによって5万円、10万円、15万円(税別)です。

月額だけを並べると、経理代行のほうが低く見えます。ただ、この2つは中身が違うので、次の3点をそろえてから比べます。

1つめは範囲です。雇う人に任せるつもりの仕事を書き出し、それが含まれるプランの金額と比べます。範囲でいえば、記帳と月次レポートだけならライト、請求書の発行や振込データの作成まで任せるならスタンダード以上に当たります。仕訳数の目安も合わせて見ます。

2つめは、月額の外にかかるものです。採用の側には、採用費、教育、急な欠勤への対応、退職時の引き継ぎが加わります。経理代行の側には、初月の導入設定費と、仕訳数が目安を超えたときの従量、それに社内に残る仕事の時間が加わります。

3つめは、含まれないものです。シメゴの月額に、税務申告と税務相談は含まれません。税理士に支払う費用は、別に見ておきます。

費用の内訳を1項目ずつ並べた比較は、経理担当を1人雇う vs 経理代行|「本当のコスト」を並べて比較したに書きました。金額を比べる前に、社内に置きたい仕事が何かを決めておくと、比べる対象がぶれません。

この記事のまとめ

  • 会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍(令和8年7月)。ただし、統計は求職者を経験で分けていない。
  • 採用が難しい原因は、1つの求人に処理と判断の両方を載せていること。
  • 求人は続けたまま、業務を減らす、派遣を使う、経理代行に出す、を並行して検討する。
  • 処理を外に出すと、採る人に求める条件が変わる。費用は範囲をそろえて比べる。

よくある質問

経理の採用は、なぜ難しいのですか

入力や発行といった処理と、科目や支払の判断を、1人に求める求人になっているからです。条件を重ねるほど、当てはまる経験者は限られます。処理と判断を分け、処理を社内から減らすと、求人票の条件が変わります。

未経験者を採ってもよいですか

教える人が社内にいれば選択肢になります。処理も判断も未経験の人に1人で任せると、処理を確かめる人がいなくなります。先に処理を外に出しておけば、採る人の仕事は資料を集めて渡すことと確認になり、経験の条件を下げられます。

採れるまでのあいだは、どうすればよいですか

先に、支払と納付を止めない手当てをします。そのうえで、業務を減らす、派遣を使う、経理代行に出す、のうち自社に合うものを決めます。いつまでに採用が決まらなければ切り替えるかを、日付で決めておきます。

派遣と経理代行は、何が違いますか

派遣は人に来てもらう方法で、仕事の指示は自社が出します。経理代行は業務を渡す方法で、契約で決めた範囲を代行側が行います。指示を出せる人が社内にいるかどうかが、選ぶときの分かれ目です。

参考資料

  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)について」(令和8年8月28日公表)
    https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75707.html
  • 厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」参考統計表(参考統計表7-1 全国計、常用(パート含む)、職業別)
    https://www.mhlw.go.jp/content/11602000/001741200.pdf
  • 厚生労働省「労働者派遣事業について」
    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/roudoushahakennjigyou.html
  • 厚生労働省・都道府県労働局「派遣社員を受け入れるときの主なポイント 派遣先の皆さまへ」
    https://www.mhlw.go.jp/content/000852557.pdf
  • シメゴの料金と業務の範囲、経理担当を1人雇う場合の試算
    https://shimego.jp/

有効求人倍率は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人と求職を集計したもので、職業の区分は同資料の表記によります。派遣の期間制限には、延長の手続と対象外の場合があります。受け入れの可否は、派遣会社か都道府県労働局にご確認ください。最終確認:2026年10月1日

採用を続けながら、外に出せる範囲を整理します。

いまの仕訳の量と社内の体制をうかがい、合うプランと費用の目安をお返しします。引き継ぎは最短1週間で対応します。

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※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について法的・税務上の判断を示すものではありません。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。

浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。専門は経営管理改革とSAP財務会計(FI)。直近はPMとして50名超のチームと経理30名を統括。経理代行「シメゴ」を設計・運営しています。

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