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経理の人手不足|採用が決まらない会社が、まずやるべき3つのこと

経理の人手不足|採用が決まらない会社が、まずやるべき3つのこと
目次
  1. 経理の人手不足が起きる5つの原因
  2. 人手不足の正体は、人数ではなく「集中」
  3. 人手不足を放置すると、何が起きるか
  4. まずやるべき3つのこと
  5. 採用と外部化、どちらを選ぶか
  6. やってはいけない対処
  7. 経理の人手不足のよくある質問
  8. シメゴの考え方:処理を引き取り、判断は社内に残す
  9. まとめ

「経理の求人を半年出しているのに、応募がほとんど来ない」。困っているのは、業績が悪い会社ではありません。売上が伸びていて、取引が増えて、処理が追いつかなくなった会社ほど深刻です。

ただ、話を伺っていくと、問題は「人数が足りないこと」そのものではありませんでした。特定の一人にしかできない仕事が積み上がっていて、その人の時間が上限になっている。そこに人を足そうとしても、教える時間が取れないので、また同じ人に戻る。この構造が本体です。

この記事では、経理で人が採れない理由を整理したうえで、採用が決まる前でも今日から動かせる打ち手を、順番つきで書きます。私自身が経理・会計システムの現場で見てきた失敗も、あわせて共有します。

経理の人手不足が起きる5つの原因

原因は、人が採れないことと、一人あたりの仕事が増えたことの両方にあります。

1. 求人票が「何でも屋」になっている

「経理業務全般」「幅広くお任せします」と書かれた求人は、応募者から見ると仕事の範囲が読めない求人です。日次の仕訳が中心なのか、月次を締めるところまでなのか、決算の資料づくりまで含むのか。求められる経験がまったく違うのに、同じ言葉でまとめられている。結果として、経験者は「自分の力量で務まるか判断できない」と感じ、応募を見送ります。

2. 経験者は、限られたイスの取り合いになっている

月次を一人で締められる人は、そもそも母数が多くありません。そして、そういう人は今の会社でも必要とされていて、簡単には動きません。中小企業が同じ層を同じ条件で狙えば、決まらないのは自然な結果です。

厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年7月分)」の参考統計表では、ハローワークを通じた常用(パートを含む)の求人・求職で、会計事務従事者の有効求人倍率は0.56倍でした。職業計の1.05倍を下回っており、数字の上では経理の仕事を探している人のほうが求人より多い状態です。それでも中小企業で経理が決まらないのは、求めているのが月次を任せられる経験者で、その層と求職者の経験が重なりにくいためだと私は見ています。足りていないのは、すぐに任せられる経験のほうです。

3. 出社前提が、候補者をさらに絞っている

経理は在宅と相性が悪くない業務ですが、「紙が届くから出社」「通帳を見に行くから出社」という理由で出社必須にしている会社は少なくありません。この条件を付けた瞬間に、応募できる人は大きく減ります。紙の存在が、採用のハードルに直結しているという自覚は、意外と持たれていません。

4. 間接部門の増員は後回しになりやすい

経理は売上を直接生む部署ではないため、増員の判断は営業や現場より後になりがちです。担当者が辞めてから求人を出すと、引き継ぎの期間は十分に取れません。残った人に仕事が寄り、その人も疲れて辞める。人手不足の連鎖は、この順番から始まります。

5. 制度への対応で、仕事の量そのものが増えた

ここ数年、経理の手間を増やす制度の変更が続きました。インボイス制度は2023年10月1日に始まり、受け取った請求書の登録番号や記載事項を確かめる作業が加わりました(国税庁「インボイス制度について」)。電子帳簿保存法では、メールなどでやり取りした請求書の電子データを、2024年1月から消さずに保存することが求められています(国税庁「令和6年1月からの電子取引データの保存方法」)。人数が変わらなくても、一人が抱える作業は以前より重くなっています。

人手不足の正体は、人数ではなく「集中」

私が最初に確認するのは、人数ではなくその仕事を誰が担っているかの分布です。次のような症状があれば、仕事が一人に集まっています。

よく聞く症状実際に起きていること効く手
月末月初だけ極端に忙しい資料の到着が遅く、締めの作業が数日に圧縮されている締めのスケジュールと締切を先に決める
担当者が休むと止まる手順が本人の頭の中にあり、外から見えない手順を文書にして、作業を分割する
人を増やしたのに楽にならない教える時間が取れず、簡単な作業しか渡せていない渡せる作業を先に切り出してから採用する
社長が最後に確認している判断が必要な作業と、そうでない作業が混ざっている判断の要る仕事だけを社内に残す

この表を見ると分かりますが、どの症状も「人が1人増えれば解決する」ものではありません。仕事の並べ方の問題です。ここを直さずに採用だけ進めると、入った人がすぐ辞める、という次の問題が起きます。

人手不足を放置すると、何が起きるか

忙しい状態が続いても、月次の数字はひとまず出てきます。そのため手を打つのが遅れがちですが、裏では次のようなことが進みます。

起きること会社にとっての影響
確認の時間が削られ、入力や消込のミスが増える誤った数字のまま月次や決算に進み、あとで直す手間が大きくなる
入出金と記帳を同じ一人が担い、ほかの人が中身を見ない誤りや不正があっても気づきにくくなる
残業が続き、担当者が辞める引き継ぎのないまま、手順と判断の理由がまとめて失われる
締めが遅れ、数字が出るのが翌々月になる資金繰りや値決めの判断が遅れる
制度への対応が後回しになる請求書の保存方法などが、要件を満たさないまま続く

どれも、日々の忙しさに紛れて気づきにくいものです。担当者が辞めた月に、まとめて表に出ることもあります。

まずやるべき3つのこと

採用活動と並行して、順番どおりに進めてください。1と2を飛ばして3をやると、結局うまくいきません。

1. 誰が・何に・何時間使っているかを1ヶ月測る

細かい記録は要りません。作業を10個くらいに区切って、月の合計時間をざっくり書き出すだけで十分です。時間は一部の作業に偏っていることが多く、上位3つを見れば手を付ける対象が絞れます。感覚で「経理が忙しい」と言っている限り、打ち手は決まりません。

2. 「判断が要る仕事」と「要らない仕事」に分ける

ここが最も重要な工程です。経理の仕事は、判断が要るものと要らないものに分けられます。

判断が要らない仕事は、社内の人でなくても回せます。逆に判断が要る仕事は、外に出してはいけません。この線が引けていない会社ほど、「経理は社内じゃないと無理」と考えがちです。

3. 判断が要らない仕事から、順に外に出す

切り出した作業のうち、量が多くて手順が決まっているものから外に出します。全部を一度に動かす必要はありません。まず記帳だけ、次に請求書の発行だけ、という進め方で十分です。経理は毎月止められない仕事なので、回しながら移すのが前提になります。

採用と外部化、どちらを選ぶか

どちらが正しいという話ではなく、性質が違います。比べる軸を揃えておくと判断しやすくなります。

観点採用する外に出す
戦力になるまで採用活動+引き継ぎで、数ヶ月かかることが多い手順が決まっていれば、比較的短期間で移せる
費用の性質給与・社会保険・採用費が固定的に発生する依頼する範囲と量に応じて変わる
退職リスク担当者が抜けると、また同じ状態に戻る担当が替わっても手順が残る
判断業務任せられる(社内の意思決定に関われる)任せられない(承認は社内に残す)
向いている会社経理を軸に管理部門を育てたい会社処理量は多いが、判断は社長・役員で足りる会社

実務的には、「判断が要らない処理は外に出し、判断が要る仕事に社内の人を充てる」という組み合わせが、中小企業では現実的です。詳しい比べ方は経理は採用と代行どちらが得かで整理しています。

採用と外部化のほかに組み合わせられる手

採用と外部化の間を埋める手もあります。派遣やツールまで並べると、自社に合う組み合わせが見えてきます。

対策効く場面気をつける点
派遣社員繁忙期や、産休・育休の期間を埋めたい派遣先の指揮命令で働く形のため、仕事の指示と教育は社内に残る
パート・在宅スタッフ入力や書類整理など、手順の決まった作業を分けたい手順書がないと、教える人の時間が結局必要になる
クラウド会計などのツール銀行明細の取り込みや仕訳の入力を自動化したい設定と運用のルールを決める人が要る。入れただけでは作業は減らない
マニュアル化担当者が休むと止まる状態をなくしたい書く時間の確保が前提になる

マニュアル化は、どの手と組み合わせるときにも土台になります。書き方は経理マニュアルの作り方で整理しています。

やってはいけない対処

忙しいときほど、後で高くつく選択をしてしまいがちです。

詳しい人に、さらに寄せる

いちばん分かっている人にまとめて任せれば、その月は速く終わります。ただしそれは効率化ではなく属人化の進行です。その人が辞めた瞬間、会社の数字が止まります。人手不足の会社が踏みやすい地雷です。

求人の条件だけを上げる

給与を上げても、仕事の範囲が読めない求人は応募が増えにくいままです。金額より先に、担当してもらう範囲を具体的に書くほうが効きます。「月次の締めまで。決算は税理士と連携」と書けるだけで、応募者の判断材料になります。

締めを遅らせて凌ぐ

月次の締めを翌々月にずらせば、その場はしのげます。ただ、そうやって出てきた数字は経営判断にはもう使えません。人手不足の本当のコストは、残業代ではなく、判断が遅れることのほうです。

経理の人手不足のよくある質問

一人しかいない経理担当者が辞めることになったら、まず何をすればいいですか

退職日までに、毎月の作業の一覧と締めのスケジュールを書き出してもらうのが先です。あわせて、取引先ごとの例外、判断の基準とその理由も残してもらいます。後任が決まっていなくても、この記録があれば外部への引き継ぎを進められます。シメゴでは、引き継ぎは最短1週間です。何を優先して渡すかは経理の引き継ぎで渡すべき4つのことで整理しています。

派遣と経理代行は、何が違いますか

違いは、誰の指示で仕事を進めるかです。労働者派遣法第2条は、労働者派遣を、派遣元に雇われた人が派遣先の指揮命令を受けて働く形と定めています。何をどの順で処理するかは社内で指示し、教えることになります。経理代行は、決めた範囲の業務を外部に委託する形で、日々の作業の進め方は委託先が組み立てます。支払いの承認のような判断は、どちらの場合も社内に残ります。

シメゴの考え方:処理を引き取り、判断は社内に残す

シメゴは、経理のうち日次の処理と月次の締めまでを代行しています。ご契約後に最初に行うのは、いまの経理の棚卸しと、やめられる作業の切り分けです。いきなり作業を引き取ることはしません。無駄を含んだまま引き取っても、費用が増えるだけだからです。

そのうえで、証憑の集め方・締めのスケジュール・チェックの範囲を型にして、クラウド会計での記帳から残高照合、月次レポートまでを担います。目安として月次を5営業日で締める運用を前提にしていますが、取引量や資料の到着状況により前後します。支払いの承認と実行は社内に残していただき、決算・税務申告は税理士の領域として顧問税理士と連携します。ここを混ぜないことが、外に出しても事故が起きない条件です。

まとめ

経理の人手不足は、人数の問題に見えて、実際は「一人に集中している」構造の問題として表れます。だから、採用が決まるのを待つ前にできることがあります。

順番は、①1ヶ月測る → ②判断の要否で仕事を分ける → ③判断が要らないものから外に出す。この3つを進めながら採用に向かうと、求人票の中身も具体的になり、入った人が定着しやすくなります。

まずは、経理の作業を「誰が・何に・何分」で書き出してみてください。上位3つが見えたら、そこが最初の一手です。「どこまで社内に残して、どこから外に出すか」の見当をつけたい方は、無料の経理コスト診断をご利用ください。送信後1営業日以内に、概算見積もりと改善ポイントをメールでお返しします(面談はご希望の方のみ)。

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浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。専門は経営管理改革とSAP財務会計(FI)。直近はSAP導入プロジェクトのPMとして、50名超のチームを率い、経理部門約30名のメンバーをまとめました。経理代行「シメゴ」を設計・運営しています。

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