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経理を任せた会社が、明日止まったらどうなるか|帳簿が取り出せなくなる条件と、契約の前に確かめる3つ

経理を任せた会社が、明日止まったらどうなるか|帳簿が取り出せなくなる条件と、契約の前に確かめる3つ
目次
  1. 1|委託先が止まる形は、倒産だけではない
  2. 2|帳簿が取り出せなくなる条件
  3. 3|契約の前に確かめる3つ
  4. 4|すでに外に出している会社が、今月できること
  5. 5|止まったと分かったとき、最初の1週間にすること
  6. シメゴの場合と、お伝えしておくこと
  7. まとめ

経理代行の見積を比べるとき、多くの会社が見るのは料金、対応範囲、締めの早さです。ところが、ほとんど話題に上らない問いがあります。

先にお伝えしておくと、この記事の話は当社(シメゴ)に対しても、そのまま当てはまります。経理代行の会社も、会計事務所も、個人で受けている方も、続く前提で契約しています。そして帳簿を保存する義務は、どこに任せても会社に残ります。

この記事では、委託先が止まったときに帳簿が取り出せなくなるのはどういう条件のときか、そして契約の前に確かめておく3つのことを、社長・管理部門長の方に向けて整理します。倒産手続きや債権の扱いといった法律の個別の判断には踏み込みません。それは状況ごとに当事者と専門家の間で決まるものだからです。

契約が普通に終わるときのデータの戻し方は経理の外部委託|アクセス権限の渡し方と、契約が終わった日のデータの戻し方に、こちらから委託先を切り替えるときの手順は経理代行を切り替えるとき|いまの委託先から引き継ぐ手順に書きました。この記事は、そのどちらでもない「向こうが先に止まる」場合を扱います。

1|委託先が止まる形は、倒産だけではない

「委託先が止まる」と聞くと倒産を思い浮かべますが、実際に起こりやすいのはもっと小さな止まり方です。

止まり方起こりやすい相手会社側で起きること
担当者の急な離脱(病気・退職)個人で受けている方、少人数の事務所代わりの人がいなければ、その月の締めが止まる。引き継ぎ資料がなければ再開まで時間がかかる
事業の縮小・撤退経理代行を副業的に始めた会社、別事業が主の会社「◯月末で受託を終了します」という通知が来る。期間が短いと、次の委託先を探す時間が足りない
廃業・事業の譲渡後継者のいない事務所契約の相手が変わる、または契約そのものが終わる
倒産規模を問わない連絡が取りにくくなる。委託先が管理していたシステムやデータに、すぐ手が届かないことがある

どの止まり方でも、困るのは同じ点です。自社の帳簿と、その元になった資料を、自社の手で取り出せるか。取り出せれば、次の委託先に渡すか社内で続けるかを選べます。取り出せなければ、再開は帳簿を作り直すところからになります。

2|帳簿が取り出せなくなる条件

取り出せるかどうかを分けるのは、委託先の規模や評判よりも、次の3つの状態です。

(1) 会計ソフトの契約が、委託先の名義になっている

クラウド会計を委託先の名義で契約し、その中に御社の事業所を作っている形です。この場合、ログインの権限を持っているのは委託先で、御社は「見せてもらっている」立場にとどまることがあります。委託先が止まり、ソフトの利用料が払われなくなると、データの取り出しに手続きが必要になる場合があります。

一方、会計ソフトを御社名義で契約し、委託先に権限を渡している形なら、委託先が止まっても、帳簿は御社の手元にあります。権限を外して、次の担当に渡し直すだけです。

(2) 取り出す形式が決まっていない

契約書に「契約終了時にデータを返却する」とだけ書いてあり、何を、どの形式で返すかが決まっていないことがあります。会計ソフトのデータそのものなのか、仕訳のCSVなのか、紙に出した帳簿なのか。形式によって、次の委託先がそのまま使えるかどうかが変わります。

とくに、委託先が独自の会計システムや表計算で記帳している場合は注意が必要です。仕訳の一覧は出せても、補助科目や取引先の設定、毎月の決まった処理のルールまでは、形式が決まっていないと戻ってきません。

(3) 元の資料が、委託先の手元にしか残っていない

領収書、請求書、通帳のコピーを委託先に送り、委託先のフォルダで保管している形です。帳簿のデータが戻ってきても、仕訳の根拠になった資料が戻ってこなければ、税務調査のときに説明がつきません。

帳簿と、その元になった書類を保存する義務は、記帳を外に出しても会社に残ります。法人の場合、保存期間は原則7年、欠損金の繰越控除を受ける事業年度は10年です。委託先が止まったからといって、この義務がなくなるわけではありません。

3|契約の前に確かめる3つ

上の3つの条件を裏返すと、確かめることもそのまま3つになります。見積を比べる段階で、委託先に次のように聞いてください。

確かめること聞き方安心できる答え注意が要る答え
(1) 帳簿の置き場所「会計ソフトは、どちらの名義で契約しますか」御社名義で契約し、委託先に権限を付与する。すでに使っているソフトをそのまま使う委託先の名義で契約する。または委託先の独自システムで記帳する(理由の説明がない)
(2) 取り出せる形式「契約が終わるときや、御社が業務を続けられなくなったとき、何をどの形式で渡してもらえますか」会計ソフトのデータ、仕訳のCSV、処理ルールの一覧など、渡すものと形式を契約書か別紙に書ける「返却します」とだけ答える。形式を聞くと、その時に相談と言われる
(3) 月次の写し「毎月の締めのあと、社内に何が残りますか」月次の試算表と、元の資料の保管場所(御社の共有フォルダなど)が毎月そろう資料は委託先で保管する。社内には何も残らない

3つとも、委託先に悪意があるかどうかを確かめる質問ではありません。委託先が続けられなくなったときに、御社が自分で次の手を打てるかを確かめる質問です。まともな委託先ほど、この質問には具体的に答えられます。

(2)の答えは、最後は契約書の解約の条文に書いてもらう形になります。解約予告の期間とあわせて、責任の上限・秘密保持・再委託の条文をどう読むかは経理の委託契約書は、金額の次にどこを読むかで整理しました。

4|すでに外に出している会社が、今月できること

いまの委託先と契約したあとでも、次の3つは今月中に確かめられます。

  1. 会計ソフトに、自社の人がログインできるか試す。閲覧だけでも構いません。できなければ、誰の名義で契約しているかを委託先に聞いてください。
  2. 直近の月の試算表と仕訳の一覧を、自社のフォルダに保存してもらう。毎月の納品物に含めてもらうよう頼めば、それ以降は手元に積み上がります。
  3. 元の資料の保管場所を、社内の共有フォルダに寄せる。委託先には共有フォルダの閲覧権限を渡す形にすれば、資料は最初から御社の手元にあります。

この3つは、委託先を疑う作業ではなく、委託先が止まったときに社内で1か月をしのぐための準備です。担当者が急に休んだ月にも、同じ準備が効きます。

5|止まったと分かったとき、最初の1週間にすること

それでも委託先から「受託を終了する」と連絡が来た、あるいは連絡が取れなくなった場合は、次の順で動きます。

  1. いま手元にあるものを確認する。会計ソフトへのログイン、直近の試算表、元の資料。何が手元にあり、何が委託先側にしかないかを一覧にします。
  2. 次の申告・納付の期限を確かめる。源泉所得税の納付、消費税の中間申告、決算の申告。期限の近いものから、誰がやるかを決めます。顧問税理士がいる場合は、まず税理士に状況を伝えてください。
  3. 委託先に、渡してほしいものを文書で伝える。連絡が取れるうちに、何を、どの形式で、いつまでに渡してほしいかをメールなどで残します。
  4. 次の担当を決める。社内で続けるか、別の委託先に出すか。次の委託先を探す場合は、1章の表のどの止まり方だったかを伝えると、引き継ぎの見積が正確になります。

倒産の場合は、委託先側に管財人などの手続きを担う人が立つことがあり、データや資料の返還をどう求めるかは個別の状況で変わります。ここは弁護士に相談してください。

会社ごと止まるほどではなくても、委託先の担当者が替わるだけで月次が遅れることはあります。担当の交代に備えて確かめる3つの質問は外に出しても、属人化は消えないに書きました。

シメゴの場合と、お伝えしておくこと

まとめ

経理の委託先が止まる形は、倒産だけではありません。担当者の離脱、事業の撤退、廃業。どの形でも困るのは、自社の帳簿と元の資料を、自社の手で取り出せるかという1点です。

取り出せなくなる条件は3つでした。会計ソフトが委託先の名義になっている。取り出す形式が決まっていない。元の資料が委託先の手元にしか残っていない。契約の前に、この3つを委託先に聞いてください。すでに外に出している会社も、今月中にログインを試し、試算表を手元に保存し、資料の置き場所を寄せることはできます。

委託先を選ぶときは、料金と締めの早さに加えて、止まったときに何が手元に残るかを比べてください。その答えが具体的な委託先ほど、続いている間の仕事も具体的です。

いまの委託先が止まったら、何が手元に残るかを確かめます。

会計ソフトの名義、契約書に書かれた返却の範囲、毎月社内に残っているものをうかがい、足りないところを1枚にしてお返しします。いまの委託先のままで、決め直すだけで足りる、という結論になることもあります。

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※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の契約や事案について法的な判断を示すものではありません。記事中の止まり方の分類と確かめる項目は、当社の受託実務およびご相談で見てきた範囲に基づく整理であり、統計調査に基づくものではありません。帳簿書類の保存期間は国税庁の公表資料に基づく一般的な内容です。倒産手続き・契約の解釈など法律の個別の判断は弁護士に、税務申告・税務相談は税理士にご確認ください。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。

浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。専門は経営管理改革とSAP財務会計(FI)。直近はSAP導入プロジェクトのPMとして、50名超のチームを率い、経理部門約30名のメンバーをまとめました。経理代行「シメゴ」を設計・運営しています。

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