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外に出しても、属人化は消えない|委託先の「あの人」に依存していないかを確かめる3つの質問

外に出しても、属人化は消えない|委託先の「あの人」に依存していないかを確かめる3つの質問
目次
  1. 1|担当が替わって困るのは、御社固有の判断
  2. 2|確かめる3つの質問
  3. 3|答えが「いいえ」だったときに、社内でできること
  4. 4|それでも委託先を替えるなら
  5. シメゴの場合と、お伝えしておくこと
  6. まとめ
  7. 参考資料・注意事項

経理を外に出して2〜3年たった会社の管理部門長から、こんな話を聞くことがあります。「委託先の担当の方が替わるたびに、うちの取引の説明を最初からやり直している」。社内の経理担当が辞めるたびに困っていたから外に出したのに、同じことが委託先の中で起きている、という相談です。

外注を勧める側として先に書いておきます。代行会社に出しても、担当者は替わります。退職、異動、産休、担当する会社数の組み替え。理由はさまざまで、当社も例外ではありません。外に出して消えるのは「社内の1人が辞めたら止まる」という形の属人化までです。判断が委託先の1人の頭の中にあるなら、依存の相手が社内から社外へ移っただけです。

この記事では、すでに経理を外に出している会社が、委託先の「あの人」に依存していないかを確かめる3つの質問と、答えが「いいえ」だったときに社内でできることを整理します。社内に経理担当がいて、その人に依存している場合の崩し方は経理の属人化|手順書を作っても直らない理由と、崩す順番に書きました。この記事はその社外版です。

1|担当が替わって困るのは、御社固有の判断

担当者の交代で説明し直しになる中身を分けてみると、仕訳の入れ方や会計ソフトの操作で困ることは、あまりありません。そこは委託先の中で共通の手順があり、後任も知っています。

困るのは、御社だけの判断です。たとえば次のようなものです。

こうした判断は、最初に決めたときのやり取りがメールやチャットに散らばっていて、どこにもまとまっていないことが多いものです。前任の担当者の頭の中にだけ、整理された形で残っています。経理の引き継ぎで書いた「渡っていないのは手順ではなく判断の理由」という話は、委託先の中の引き継ぎでもそのまま起きます。

2|確かめる3つの質問

いまの委託先に、次の3つを聞いてみてください。聞きにくければ、次の契約更新の打ち合わせで話題にするのでも構いません。

質問1 御社(当社)の処理ルールは、文書として残っていますか

確かめたいのは、1で挙げたような御社固有の判断が文書に書いてあるかどうかです。担当者の記憶に残っているだけでは足りません。「マニュアルはあります」という答えなら、それが委託先の共通マニュアルなのか、御社専用の処理ルールなのかを聞き分けます。共通マニュアルしかない場合、御社固有の判断は担当者の記憶に頼っています。

あわせて、その文書を御社も持っているかを聞いてください。委託先の中にしかないと、委託先を替えるときに持ち出せません。

質問2 当社の担当は、1人ですか。ほかに中身を見ている人はいますか

主担当が1人いること自体は悪くありません。問題は、主担当が休んだ日に、御社の帳簿を分かる人がほかにいるかです。確認やレビューの役で別の人が毎月見ているなら、交代のときに一から説明し直す事態はかなり減ります。

ここは会社の規模では決まりません。大きな事務所でも1社を1人で抱えている形はありますし、小さな会社でも2人で見ている形はあります。

質問3 担当が替わるとき、引き継ぎの期間はありますか。こちらに連絡は来ますか

理想は、前任と後任が1〜2か月重なって、同じ月次を一緒に処理する期間があることです。前任が辞めた翌月に、後任が初めて御社の資料を開く形だと、その月の月次は遅れやすくなります。

交代を事前に知らせてもらえるかも聞いておきます。月次が遅れて問い合わせたら担当が替わっていた、という知り方をすると、御社側も準備ができません。

3|答えが「いいえ」だったときに、社内でできること

3つとも「はい」と答えられる委託先ばかりではありません。「いいえ」が混じっていても、それだけで委託先を替える理由にはなりません。替える前に、御社の側でできることがあります。

「いいえ」だった質問社内でできること手間の目安
処理ルールが文書にないいまの担当者がいるうちに、御社固有の判断を一覧にしてもらう。科目、取引先、判断の理由の3列で足りる重い。ただし担当が替わってからでは書けない
担当が1人だけ月1回、主担当以外の人にも月次の結果を見てもらえるかを打診する。費用が上がるなら、その額を聞いてから判断する中くらい。契約の見直しになることがある
引き継ぎの約束がない交代のときは事前に連絡をもらうこと、前任が1回は同席することを、次の更新で契約か覚書に入れる軽い。書面に1行足すだけ

表の1行めがいちばん効きますが、いちばん後回しにされやすい行でもあります。担当者が替わってから書こうとしても、判断の理由を知っている人がもういません。

もう一つ、社内に御社の処理ルールを説明できる人を1人置くことも欠かせません。経理を丸ごと出していても、委託先の後任に「うちはこう処理している」と言える人が社内にいれば、交代の影響は小さくなります。社内に誰を残すかは経理を外に出したあと、社内に誰を残すかにまとめました。

4|それでも委託先を替えるなら

質問を投げても答えが返ってこない、交代のたびに月次が遅れる、といったことが続くなら、委託先を替えることを考えてよい段階です。替える前に、交代の条件を委託契約書でどう書いているかを読んでおくと、次の委託先に何を求めるかがはっきりします。契約書のどこを読むかは経理の委託契約書は、金額の次にどこを読むかに書きました。

替えるときは、いまの委託先から処理ルールを受け取ってから動くのが順番です。受け取れないまま替えると、新しい委託先でも同じ説明を最初からすることになります。切り替えの手順は経理代行を切り替えるときにあります。

シメゴの場合と、お伝えしておくこと

まとめ

経理を外に出しても、属人化は消えません。社内の1人に頼っていた判断が、委託先の1人に移っただけになっていないかを、3つの質問で確かめてください。御社の処理ルールが文書で残っているか、担当が1人だけではないか、交代のときに引き継ぎの期間と連絡があるか、の3つです。

「いいえ」があっても、すぐに委託先を替える必要はありません。いまの担当者がいるうちに御社固有の判断を一覧にしてもらうことが、交代にも乗り換えにも効く一手です。

参考資料・注意事項

本記事は、経理の外部委託を受ける立場から、当社への相談で見聞きした範囲をもとに整理したものです。委託先の体制や契約の内容は会社ごとに異なります。契約の条項の解釈は弁護士に、税務の判断は税理士にご確認ください。最終確認:2026年9月29日。

いまの委託先で、判断がどこに残っているかを一緒に確かめます。

いまの委託の形と、担当が替わったときに困った場面をうかがい、社内に残しておくべき処理ルールを1枚にしてお返しします。当社への乗り換えを前提にしない結論でも構いません。

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※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について法的・税務上の判断を示すものではありません。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。

浅香 祐輔

この記事を書いた人

浅香 祐輔(Never Red株式会社 代表取締役)

大手コンサルティングファーム(アクセンチュア/アビーム)出身。専門は経営管理改革とSAP財務会計(FI)。直近はSAP導入プロジェクトのPMとして、50名超のチームを率い、経理部門約30名のメンバーをまとめました。経理代行「シメゴ」を設計・運営しています。

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