月次決算チェックリスト|締める前に確かめる項目と、担当・期限の付け方

この記事の要点
- 月次決算チェックリストは、試算表を出す前に確かめる項目を、勘定科目別に1枚へ並べた表です。
- 項目の一覧だけでは締めは早くなりません。項目ごとに、突き合わせる資料・担当・期限を書きます。
- 期限の欄には、締めのどの段までに済ませるかを営業日で書きます。税務の取扱いは、自社のケースを顧問税理士にご確認ください。
目次
表1 月次決算チェックリスト(勘定科目別・20項目。スマートフォンでは横に送って見られます)
| 確認項目 | 突き合わせる資料 | 担当 | 期限 | 済 |
|---|---|---|---|---|
| 現金:帳簿の残高と、金庫にある現金の額が一致している | 現金出納帳、金種表 | □ | ||
| 預金:口座ごとの帳簿の残高と、月末日の銀行の残高が一致している | 通帳または入出金明細 | □ | ||
| 売掛金:当月に納品・提供した分の売上が、すべて計上されている | 発行した請求書の控え、納品書 | □ | ||
| 売掛金:取引先別の残高が、未入金の請求書の合計と一致している | 取引先別の残高一覧、入金明細 | □ | ||
| 買掛金:当月に受け取った物・サービスの分が、請求書が届いていないものも含めて、すべて計上されている | 納品書、受け取った請求書 | □ | ||
| 買掛金:取引先別の残高が、未払いの請求書の合計と一致している | 取引先別の残高一覧、支払予定表 | □ | ||
| 仮払金:残高の1件ごとに、渡した相手と精算の予定日が分かる | 仮払の申請書、経費精算書 | □ | ||
| 仮受金:内容の分からない入金を、相手と理由を確かめて正しい科目へ振り替えた | 入金明細、取引先に確かめた記録 | □ | ||
| 棚卸資産:月末の在庫の数量と金額が、帳簿に反映されている | 棚卸表または在庫の受払の記録 | □ | ||
| 固定資産:当月に取得・売却・廃棄した資産が、台帳に反映されている | 固定資産台帳、購入時の請求書、売却・廃棄の書類 | □ | ||
| 減価償却費:当月分が計上されている | 固定資産台帳(年間の償却予定額) | □ | ||
| 借入金:帳簿の残高が返済予定表の月末残高と一致し、返済額が元金と利息に分かれている | 返済予定表、通帳 | □ | ||
| 未払金:カードの利用分など、当月に発生して翌月以降に払うものが計上されている | カードの利用明細、受け取った請求書 | □ | ||
| 預り金:源泉所得税・住民税・社会保険料の残高を、差し引いた額と納めた額で説明できる | 賃金台帳、納付書の控え | □ | ||
| 仮払消費税・仮受消費税:課税の対象にならない取引に消費税が付いていない。適格請求書でない仕入に、通常の課税仕入の税区分が付いていない | 税区分別の集計表、請求書 | □ | ||
| 前払費用:年払いや数か月払いの費用のうち、当月分を費用へ振り替えた | 契約書、請求書、月割りの明細 | □ | ||
| 未払費用:当月に発生して、まだ払っていない費用が計上されている | 賃金台帳、契約書 | □ | ||
| 引当金:賞与など、月割りで積むと決めたものの当月分が計上されている | 支給見込み額の計算表 | □ | ||
| 損益の科目:家賃やリース料など毎月発生する費用が、抜けても二重にもなっていない | 月次の推移表、契約の一覧 | □ | ||
| 損益の科目:前月と比べて大きく動いた売上・費用の理由を説明できる | 月次の推移表、総勘定元帳 | □ |
この表は、そのまま表計算ソフトに写して使えます。自社にない科目の行は消し、担当の欄には名前を、期限の欄には営業日を書き込んでください。
月次決算チェックリストとは
月次決算チェックリストは、月の帳簿を締めて試算表を出す前に、何を確かめたら締めてよいかを並べた表です。確かめる項目を担当者の頭の中から紙の上へ出すことが役目で、担当者が休んでも、別の人が同じ順番で同じ資料を見られるようになります。
月次決算の全体の流れは月次決算とは?流れ・早期化のやり方と、締めが遅れる会社の共通点にまとめてあります。この記事が扱うのは、そのうち「残高を照合する」段と、試算表を出す直前の確認です。
私の考えでは、項目を並べただけのチェックリストでは締めは早くなりません。誰が、何営業日目に、どの資料と突き合わせるのかが決まっていなければ、作業は前に進まないからです。そこで表1は、1行を確認項目、突き合わせる資料、担当、期限、済の5つの欄で組んでいます。
月次決算チェックリストの項目(勘定科目別)
表1の20項目を、科目ごとに説明します。
現金・預金
現金は、金庫の中身を数えて、現金出納帳の残高と比べます。預金は、口座ごとに、帳簿の残高と月末日の銀行の残高を比べます。預金が1円でも合わないときは、入力のもれ、二重の計上、日付のずれを順に疑います。
預金の照合は最初に済ませます。売掛金の入金も、買掛金の支払も、借入金の返済も、預金の動きを元に記帳するからです。預金が合っていないうちにほかの科目を照合しても、あとでやり直すことになります。
売掛金・買掛金
確かめることは、科目ごとに2つあります。1つめは計上のもれです。当月に納品・提供したのに請求書を出していない取引や、物を受け取ったのに請求書が届いていない取引がないかを、納品書と照らして確かめます。2つめは残高の中身です。取引先別の残高が、まだ入金されていない請求書、まだ払っていない請求書の合計と一致するかを見ます。
残高がマイナスの取引先があれば、入金や支払を別の取引先に付けていないか、売上・仕入の計上がもれていないかを調べます。
仮払金・仮受金
仮払金と仮受金は、内容が確定するまでの置き場所です。残高がゼロでなくても構いません。確かめるのは、残っている1件ごとに、相手と理由と片づく予定日を言えるかどうかです。
仮払金が残り続ける会社でどこを直すかは、仮払金の精算|残り続けるのは、ルールではなく「渡し方」の問題ですで扱っています。
棚卸資産
在庫を持つ会社は、月末の在庫の金額を帳簿に反映します。在庫が帳簿に入っていないと、仕入れた分がすべてその月の費用になり、月ごとの利益が仕入の時期で大きく振れます。
毎月すべてを数えるか、受払の記録から計算した数量を使うかは、会社が決めます。当月にとった方法が分かるように、資料の欄に棚卸表か受払の記録かを書いておきます。
固定資産と減価償却費
固定資産は、当月に買った資産、売った資産、捨てた資産が、固定資産台帳に載っているかを確かめます。
減価償却費は、年間の償却予定額を12で割った額を毎月計上する方法が、月次では使われます。期中に資産が増減した月は、月割りの額も直します。
借入金
借入金は、帳簿の残高を、金融機関の返済予定表にある当月末の残高と比べます。合わないときは、返済額をすべて元金の返済として記帳していないかを見ます。毎月の返済額には利息が含まれているので、返済予定表のとおりに元金と支払利息へ分けます。
未払金・預り金
未払金では、クレジットカードの利用分を確かめます。利用した月と口座から引き落とされる月がずれるので、引き落としの日に費用を計上していると、費用の計上が翌月以降にずれます。カードの利用明細で、当月に使った分を当月の費用にします。
預り金は、給与から差し引いた源泉所得税、住民税、社会保険料です。国税庁の案内では、給与などから差し引いた所得税と復興特別所得税は、原則として、実際に支払った月の翌月10日までに納めることになっています。月末の残高が、差し引いた額のうちまだ納めていない分として説明できるかを、賃金台帳と納付書の控えで確かめます。
消費税(仮払・仮受)
税抜経理方式をとる会社は、課税売上げにかかる消費税等を仮受消費税等、課税仕入れにかかる消費税等を仮払消費税等として経理します(国税庁 タックスアンサー No.6375)。会計ソフトでは仮受消費税・仮払消費税の名前のこともあります。仕入や経費の側は、原則として、適格請求書等の記載にもとづく金額があるかどうかで、仮払消費税等にできる額が変わります(同No.6375)。
月次で見るのは、仕訳の税区分です。課税の対象にならない取引に消費税を付けていないか、税率を取り違えていないか、適格請求書でない仕入に通常の課税仕入の税区分を付けていないかを、税区分別の集計表と請求書で確かめます。
税区分の判断に迷う取引は、自社のケースを顧問税理士にご確認ください。
経過勘定と引当金の月割り
経過勘定は、お金が動いた月と、費用や収益になる月がずれるものを調整する科目です。この記事では、月次で扱う前払費用と未払費用を取り上げます。
前払費用は、保険料や保守料を1年分まとめて払ったときに使います。払った月に全額を費用にすると、その月だけ利益が小さく出ます。いったん前払費用に置いて、毎月1か月分ずつ費用へ振り替えます。未払費用はその逆で、当月に発生しているのにまだ払っていない費用を、当月の費用として計上します。
引当金の月割りは、賞与のように支払う月が決まっている大きな費用を、支給の見込み額から毎月少しずつ積む処理です。積むかどうか、いくら積むかは会社の方針で決めます。チェックリストには「方針で決めた額を当月も計上したか」だけを書きます。
損益の科目
損益の科目には、残高を合わせる相手の資料がありません。その代わりに、月次の推移表で前月と並べ、動きの理由を説明できるかを確かめます。
見るところは2つです。家賃やリース料のように毎月ほぼ同じ額が出る費用が、抜けたり二重になったりしていないか。売上や費用が前月から大きく動いた科目について、理由を1行で書けるか。理由が書けない科目は、総勘定元帳で仕訳までさかのぼります。試算表のどこから読むかは、試算表の見方|月次でどこを見るか、決算書との違いをわかりやすく解説を参照してください。
チェックリストの作り方
項目が決まったら、1行ごとに残りの欄を埋めます。図1に、書き方が粗い行と、締めに使える行を並べました。
図1 項目1行の書き方
確認項目は「どうなっていれば済か」で書き、資料・担当・期限の3つの欄を、あいまいな語で済ませない。
項目ごとに担当者と期限を書く
担当の欄には、部署の名前でなく1人の名前を書きます。「経理」と書くと、経理が2人いる会社ではどちらの仕事か決まりません。
期限の欄は、「月初」「なるべく早く」と書かず、営業日で書きます。何営業日目に置くかの決め方は、次の章で説明します。
突き合わせる資料を書く
資料の欄には、帳簿の数字と比べる相手を、名前で書きます。「通帳」「返済予定表」「取引先別の残高一覧」のように、手に取れる単位にします。資料の名前が決まると、その資料がいつ、誰から届くのかも決まり、期限の欄を埋める材料になります。
確認項目の文は、資料と比べた結果で書きます。済を付けてよいかどうかを、誰が見ても同じように決められるからです。
1行は「誰が・何営業日目に・何と突き合わせるか」
確認項目だけの一覧は、覚え書きにとどまります。資料・担当・期限の3つがそろった行から、締めの業務を進める道具になります。
締めの確認を社内で持ちきれないときは、記帳と月次レポートを外に出す方法があります。無料コスト診断にお申し込みいただくと、合うプランと費用の目安をお返しします。
期限の欄の埋め方
期限を決めるときは、先に締めの段を決め、各項目をどの段までに済ませるかを割り当てます。項目どうしに順番があるからです。預金が合う前に売掛金の残高は確定しませんし、残高がすべて合う前に損益の前月比を見ても、数字がまだ動きます。順番どおりに段を置くと手戻りが減り、締めの業務の効率化にもつながります。
段の区切り方の例として、シメゴの締めスケジュールを使います。シメゴは、月初に資料を共有いただき、月初から5営業日で月次レポートを納品する設計です(内容により前後する目安です)。スケジュールは、資料共有、記帳確定、残高照合、レポート作成、納品完了の5段です。図2では、この5段を枠にして、表1の20項目を2段目から4段目に置きました。1段目と5段目には、表1の項目のほかに確かめることを書いています。
図2 締めの5段を枠にした、期限の欄の埋め方(項目の置き場所は例)
- 1資料共有表1の項目のほかに:入出金明細、請求書、カードの利用明細、棚卸表がそろったか
- 2記帳確定例:売上と仕入の計上もれ、棚卸資産、固定資産の台帳、減価償却費、未払金、前払費用、未払費用、引当金
- 3残高照合例:現金・預金、売掛金・買掛金の残高、仮払金・仮受金、借入金、預り金
- 4レポート作成例:消費税の税区分、毎月発生する費用の抜け・二重、損益の科目の前月比
- 5納品完了表1の項目のほかに:全行に済が付いたか、残った差の理由を書いたか
期限の欄には、その項目を締めのどの段までに済ませるかを、営業日で書く。
自社で使うときは、まず試算表を出す日を決め、そこから各段の営業日を逆に割り振ります。段ごとの営業日が決まれば、その段に置いた項目の期限の欄は同じ営業日で埋まります。
期限を決めても守れない項目が出たら、その行の資料が届く日を見直します。請求書やカードの明細が届く日を前へ動かす方法は、月次締めの早期化|1日縮めるために動かすのは、経理の外ですに書きました。年に1度の仕事が重なる月の見通しは、経理の年間スケジュールで確かめられます。
チェックリストがあってもミスが減らないとき
済がすべて付いた試算表から誤りが見つかるときは、表のどの欄が弱いかを症状から探します。
項目が抽象的
症状は、済が付いているのに残高が合っていないことです。何をしたら済なのかが行から読み取れず、一覧を眺めただけでも済が付きます。直す場所は確認項目の欄で、誤りが見つかった行から書き換えます。
突き合わせる資料がない
症状は、帳簿の中だけを見て済が付いていることです。直す場所は資料の欄です。帳簿の外の資料を書けない行は、損益の科目と同じ「前月との差の理由を書けるか」の形に変えます。
担当と期限がない
症状は、試算表を出す日にまとめて済が付くことです。確認が締めの最後に集中すると、差が見つかっても原因を調べる時間が残りません。直す場所は担当と期限の欄です。済を付けた日を記録する列を足すと、どの項目が最後の日に寄っているかが把握できます。
済を付ける人と、試算表を見る人を同じにしない
確認した本人だけが済を見る形では、項目を飛ばしても誰も気づきません。試算表の報告を受ける人が、済の付いた表を一緒に受け取るようにします。
外に出せる確認・社内に残る確認
チェックリストの行は、すべてを社内で持つ必要はありません。シメゴを例に、外に出せる範囲と社内に残るものを表2に分けました。含まれる範囲はプランごとに違います。
表2 外に出せる確認と、社内に残る確認(シメゴの場合)
| 区分 | 内容 | 補足 |
|---|---|---|
| 外に出せる | 記帳・仕訳と月次レポート。締めスケジュールに記帳確定と残高照合の段がある | ライト・スタンダード・フルのすべてに含まれる |
| 外に出せる | 請求書発行・入金消込、支払管理(振込データの作成) | スタンダードとフルに含まれる |
| 外に出せる | 給与計算 | フルに含まれる(20名まで)。スタンダードではオプション |
| 提携税理士 | 税務申告、税務相談 | シメゴでは行わない |
| 社内に残る | 現金や在庫を実際に数える。仮払金を渡した相手と精算の予定を答える。引当金を積むかなどの方針を決める | 取引の事実と会社の判断を知っている人が持つ |
外に出しても、チェックリストは社内に1枚残します。行の担当の欄に委託先の名前が入るだけで、資料を月初に共有する期限と、社内に残る確認の期限は、自社の行として残るからです。シメゴのサービスの全体はトップページに載せています。
よくある質問
- 月次決算チェックリストには何を入れますか
貸借対照表の科目ごとに「帳簿の残高が資料と一致している」という項目を入れ、損益の科目には「前月との差の理由を説明できる」という項目を入れます。この記事の表1は20項目です。
- 一人経理でも要りますか
要ります。担当の欄はすべて同じ名前になりますが、資料と期限の欄は1人でも働きます。休んだときは、代わりの人が続きから進められます。
- 表計算ソフトで作ってよいですか
構いません。月ごとにシートを分けるか、済の列を月ごとに足して、過去の月の記録を残します。
- チェックリストは誰が持ちますか
試算表を報告する責任のある人が持ちます。行ごとの担当者は済を付け、持ち主は全行に済が付いたことを確かめてから試算表を出します。
この記事のまとめ
- 勘定科目別の確認項目を1枚に並べた表が、月次決算チェックリストです。
- 1行に、確認項目・突き合わせる資料・担当・期限・済の5つの欄を持たせます。
- 期限は、締めの段を先に決めてから営業日で書きます。
- ミスが減らないときは、症状から弱い欄を探します。
参考資料
- 国税庁 タックスアンサー No.6375「税抜経理方式または税込経理方式による経理処理」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6375.htm - 国税庁 タックスアンサー No.2502「源泉徴収義務者とは」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2502.htm - シメゴ「経理代行|中小企業の経理を月5万円から・5営業日で月次納品」(締めスケジュール、頼める業務、役割分担)
https://shimego.jp/
最終確認:2026年10月2日
※本記事は、記載時点での一般的な整理であり、個別の事案について法的・税務上の判断を示すものではありません。当社では税務代理・税務書類の作成・税務相談は行いません。
